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イータリーが原宿に進出 世界“最小”規模の実験店をオープン

6月9日、イタリア食品専門店のEATALY(イータリー)が原宿に国内3店舗目となる「EATALY HARAJUKU」(イータリー原宿:以下、原宿店)をオープンした。出店地は、240台のディスプレイを設置してリアルとバーチャルが融合する売場を演出した「ユニクロ原宿店」や、家具専門店「IKEA」の国内初の小型フォーマットなどのテナントのほか、賃貸マンションや貸ホールなども備えている原宿の新たな複合商業施設「WITH HARAJUKU(ウィズ原宿)」の3階。ファッションとカルチャーの中心地として知られる原宿で、イータリーはどのような売場づくりを行っているのか。写真とともに解説する。

イータリー原宿

売場面積最小店舗

 イータリーを展開するイータリー社は2007年、創業者オスカー・ファリネッティ氏が設立。同年、イタリア・トリノに1号店をオープンした。店舗は食物販と飲食スペースを兼ね備えた「グローサラント」型の業態で、現在はイタリア本国のほかアメリカやドイツ、フランス、ブラジルなど世界で約40店舗を展開している。

 日本でイータリーを運営するのは、イータリー社と三井物産(東京都/安永竜夫社長)の共同出資会社であるイータリー・アジア・パシフィック(東京都/西条真義社長:以下、EAP)で、153月に設立された。設立当初は飲食店事業を手掛けるきちり(東京都/平川昌紀社長)も含めた3社の出資会社だったが、きちりは18年にEAPの株式をすべて売却し、撤退している。

 原宿店は、「EATALY日本橋三越店」(以下、日本橋三越店)、「EATALYグランスタ丸の内店」(以下、グランスタ丸の内店)に続く国内3店舗目となる店舗だ。原宿店の売場面積は既存2店舗よりも小さい約71坪(テラス席除く)。また、海外の既存店でもこの規模の店舗はなく、「世界的に見ても実験店の位置づけ」(EAPマーケティング本部長 関谷悌輔氏)だという。

若者が手に取りやすい商品を中心に品揃え

 原宿店は国内のほかの既存店と同様、食物販ゾーンの「マーケット」と飲食ゾーンで構成されている。入口から広がる食物販ゾーンでは売場面積が限られているため、アイテム数を約500アイテム(うちワイン140アイテム、生ハム・チーズ60アイテム)に絞り込んだ。グランスタ丸の内店では700750アイテムを展開しているため、約3分の2の数だ。

原宿店の食物販ゾーンでは約500アイテムを取り扱う

 このうちグロサリーでは、原宿店から導入した新商品約70アイテムを含む約300アイテムを展開する。その多くがイタリアから直輸入したもので、チョコレートやパスタ、オリーブオイル、トマトソースなどこだわりの商品を取り扱う。日本橋三越店やグランスタ丸の内店では40代以上のシニア層の利用が多かったが、若者が集いやすい原宿では2030代を主なターゲットに設定し、単価が低く手に取りやすい商品を中心にセレクトした。「菓子やカラフルなパスタなどの見た目が可愛らしいものを増やし、ジャムやソースなどは小サイズのものを多く品揃えした」(EAP事業本部 MDマネージャー 星川智子氏)。

若年層に手に取ってもらいやすいように、見た目の可愛らしい商品や小サイズの商品が並ぶ


原宿店限定のテイクアウトメニューも提供

 続く飲食ゾーンは既存店と同じく、レストランのほかテイクアウトも可能なメニューを提供する「カフェ&カウンター」で構成されている。トリノの老舗カフェ「Caffè Vergnano(カフェ・ヴェルニャーノ)」のコーヒーやイタリアンカクテル、ワイン、ジェラートなどを販売するほか、原宿店限定メニューとして「パンナ」(381円:以下、税抜)、「フラーゴラ」「チョコラート」「ティラミス」(いずれも436円)の4つの味を揃えたローマの名物菓子「Maritozzo(マリトッツォ)」と、イタリアのストリートフード「Fritto misto(フリットミスト)」(3種類、いずれも618円)を新たに発売する。「テイクアウトは若いお客さま向けにレストランよりも手ごろな価格で提供し、原宿や表参道を食べ歩きしてもらいたい。テイクアウトをきっかけにレストランを利用していただければと思う」(関谷氏)。

原宿店では手ごろな価格のテイクアウトメニューを充実させている

 レストランではイタリアの伝統的なメニューを楽しむことができる。席は店内のほか、明治神宮が見え、開放感あふれるテラスのソファ席も利用可能だ。「マルゲリータ」(1709円)や「スパゲッティ カルボナーラ」(1436円)など定番のピザやパスタのほか、原宿店限定の前菜盛り合わせ「アンティパストミスト EATALY原宿」(1800円)も提供する。そのほか、ウィズ原宿の賃貸マンション居住者に向けた宅配サービスも開始するなどの実験的試みも行っている。

テラスのソファ席でくつろぎながらイタリアの伝統的な料理を楽しむことができる

 ここまで見てきたように、原宿店はこれまでとは異なる客層に対応するため、さまざまな取り組みを実験的に実施している。「原宿はトレンドの移り変わりが早く、伝統的なイタリアの食文化を提供する当社であっても変化に素早く対応しなければならない。原宿店で成功できれば、ほかの都市でもお客さまのニーズに応えられる店舗をつくることができる。いずれは東京以外の主要都市にも店舗を展開したい」(関谷氏)。イータリーの国内の今後の出店は未定だが、原宿店が成功すれば多店舗展開の足掛かりとなるだろう。

店舗情報

店名:EATALY HARAJUKU(イータリー原宿)
業態:イタリアンレストラン&マーケットプレイス
住所:東京都渋谷区神宮前11430 ウィズ原宿3F
営業時間:110023002200 L.O.
*当面の間は110021002000 L.O.
売場面積:約71坪(テラス席除く)
電話:0364329080
定休日:施設に準ずる
総席数:152席(店内:カフェ&カウンター6席(スタンド席除く)、レストラン55
テラス:カフェ&カウンター34席、レストラン39席)