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注目新店レポート!「ロピア吹上店」の売場から見えた「進化」とは!?

ロピア(神奈川県)は5月18日、埼玉県鴻巣市に「ロピア吹上店(以下、吹上店)」をオープンした。ロピアにとって49店舗目となる店舗で、2019年春に閉店した「アピタ吹上店」の跡地に居抜き出店した。同店ではどのような売場づくりをしているのか。(調査日5月24、28日)
※本文中の価格はすべて本体価格

「ロピア吹上店」が入るショッピングセンター「FUJI MALL吹上」

旧アピタ跡に居抜き出店!

 ロピアにとって49店舗目、埼玉県では7店舗目の出店となる吹上店は、JR高崎線「北鴻巣」駅の北東1.6kmの場所にある。2019年春に閉店した「アピタ吹上店」の跡地に開業したショッピングセンター「FUJI MALL吹上」の核テナントで、同店のほかに「スギ薬局」「島忠ホームズ」「セリア」などが入る。国道17号線沿いにある商業施設で、周辺は住宅のほか企業の工場も多い。住宅街への出店が多いロピアとしては少し珍しい立地と言えるかもしれない。

 「アピタ」の運営元であるユニー(愛知県)は現在、不採算店舗をドン・キホーテ(東京都)との「ダブルネーム店舗」に業態転換している。本来であれば、旧アピタ吹上店もダブルネーム店舗へ転換するはずだが、「北鴻巣」駅から南東1.2kmの場所に「MEGAドン・キホーテ北鴻巣店」があるため、閉店という選択になったと見られる。

売場面積約500坪、店内随所でメッセージを発信

 旧アピタ店舗の再生を担う、吹上店ではどのような売場づくりをしているのだろうか。

 吹上店の売場面積は、約500坪(歩測)。歩測ではあるが、ロピアの全49店舗(2020年5月末時点)中の約半数が売場面積500坪前後となっており、ロピアが最も得意とする店舗スタイルであると思われる。

 ロピアの店舗に共通する特徴といえば、天井から「標語」を吊り下げたり、売場内の壁面に絵を描いたりといった、空間演出だ。吹上店でも、入口からすぐの生鮮ゾーンの天井から「常に挑戦進化」「売場が踊る」「自分達が主役だ」「スーパーマーケットではなくロピアを創る」と書かれたサインを約70枚吊るしている。精肉売場壁面には、牛肉の部位を住めす大きな説明図が掲げられており、店内に賑わいをもたらしている。

「安さ」と「量感」を打ち出す“ロピアマジック”

 売場配置もロピアの標準スタイルを踏襲しており、青果・鮮魚・総菜・精肉からなる約200坪(歩測)の生鮮ゾーンを右サイド主通路に配置。生鮮4部門を1つのゾーンのように見せ、“量感”を打ち出すことで購買意欲を刺激するというねらいが窺える。

ロピア吹上店の売場レイアウト

 調査日は、オープニングイベント第2弾の催事セールを実施しており、各部門で目玉商品を山のように積んでいた。入口付近の青果売場では、「バナナ一房(12~14本)」(299円)、「アールスメロン」(699円)、「トマトオオバコ20個」(500円)などを大きくアピール。ほかにも、キュウリ(1本29円、5本99円)、レタス(1玉59円)、ほうれん草(1束79円)、もやし200g(7円)と、他店では信じられない安さで商品を販売していた。

 どの商品も鮮度がよく、売場からは「安い」とお客のざわめきが聞こえてくるほど。このあたりの「量感」と「安さ」の打ち出し方は、まさに“ロピアマジック”である。

独自スタイルの鮮魚売場

 青果と連動させるように展開するのが鮮魚売場。壁面24尺のスペースを使って、「たこ」「うに」「いくら」「ぶり」「まぐろ」のパックとサクを並べている。「生本鮪ブーメランカット刺身用(養殖)」(100g/500円)をはじめ、「生アトランティックサーモンブロック刺身用(養殖)」(100g/200円)、「ケープタウン天然南まぐろ中トロ」(100g/790円)などダイナミックな見た目の商品を豊富に揃える。刺身の扱いがないのも“ロピア流”だ。

 向かって左サイドの冷凍・冷蔵ケースでは、「珍味」「寿司」「海鮮丼」を配置している。大ぶりなネタが人気の寿司は、「9貫」(990円)、「18貫」(1980円)、「27貫」(2500円)をラインアップ。量感あふれる同コーナーは圧巻だ。「海鮮はみだし巻(本鮪)」(890円)、「魚萬海鮮たっぷりちらし」(990円)、「鉄火丼」(690円)など海鮮丼、巻物も充実させている。

 28尺3本の平台冷蔵・冷凍ケースでは、「鰻蒲焼(国産)」(1枚1000円)、「あわび4個」(1000円)などを揃える。「明太子10個」(1000円)の試食販売を実施するなど「食べて買わせる」仕掛けもできている。そのほか、「鮭3切」(790円)、「金目鯛切身」(1000円)、「ぶり8切」(1000円)、「ホッケ開き(大サイズ)3枚入」(1000円)、「伊勢エビ」(1尾1000円)など、見た目のインパクトもある大容量商品の価格訴求にも余念がない。青果と同じく、鮮魚売場もロピア独自のスタイルが確立されている。

総菜売場が進化!?

 既存店舗からの進化が見られたのが総菜売場だ。衛生面への配慮のためか、トビラ付き什器を導入し、「パン」「ピザ」「天ぷら」「焼鳥」コーナー展開する。

ロコモコ丼の価格は298円。どの商品も値ごろ感のある価格設定となっている

 同店で新たに導入したと思われる「パン」コーナーは、8尺のスペースを使って、「3種類のミニクロワッサン(8個298円)、「ミニパン・オ・ショコラ」(8個298円)、「ロングアップルパイ」(398円)など販売する。平場のエンドでは、「アンチョビ照り焼きチキンピザ」(680円)、「ウインナーベーコンピザ」(600円)など既存店でも人気の箱入りピザ9品目を陳列している。トビラ付き什器内には、ピザの1/4カット(150~200円)も並べている。また、ほかのトビラ付き什器では「フライさつま揚げごぼう」など揚げ物のほか、「トリハツ」「せせり」など焼き鳥10品目を60円で販売する。

 そのほか平台では、「フライ」「弁当」をそれぞれコーナー展開する。調査日は「ジューシー鶏モモカツ弁当」(350円)、大容量の「豚バラチャーシュー丼」(899円)、「玉手箱弁当」(498円)などのオープン記念の目玉商品として売り込んでいた。ほかにも、「ファミリーサイズガーリックライスチキン」(998円)、「自家製豚ロースカツ丼(大)」、「MEGAハンバーグチャーハン」(780円)といったインパクトあふれる大容量サイズ商品を豊富に揃えている。

スイーツ類が充実!

 和総菜は、グループ会社の利恵産業(神奈川県)が製造する商品を販売。「うの花」「ポテトサラダ」「お稲荷」「おにぎり」など、利恵産業の商品はロピアの総菜売場に欠かせない存在となっている。また、関連商品として冷凍総菜コーナーも設けており、日清医療食品、阪急デリカアイなどの商品を並べ、品揃えにバラエティを持たせている。

ほかの食品スーパーではあまり見かけない、個性的なスイーツを揃えている

 ロピアでは、昨年頃から総菜売場内で、「飲むコーヒーゼリー」(200円)、「タピオカドリンクミルクティー」(200円)、「シュークリーム」「マンゴシュークリーム」(各150円)といったスイーツ類を充実させている。吹上店でも同商品のほか、「あんこシュークリーム」「フルーツサンドいちご」(各230円)、「チョコミントシュークリーム」(180円)、「北海道牛乳のプルプルミルクゼリー」(150円)など、見た目も鮮やかなスイーツを多数ラインアップしている。ほかの食品スーパーではあまり目にしない商品ばかりであり、総菜売場の魅力を引き立てている。

 後編では、ロピアの看板部門である精肉売場のほか、グロサリー売場や日配売場を解説していく。

 

(店舗概要)
店名 ロピア吹上店
開店日 2020年5月18日
住所 埼玉県鴻巣市袋字道上90-1 FUJI MALL1F
アクセス JR高崎線「北鴻巣」駅から徒歩約20分、クルマで5分
店舗面積 約500坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車場 1018台(モール全体)