ロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)は大阪市住之江区に「ロピア北加賀屋店(以下、北加賀屋店)」を4月23日にオープンした。同店は、ロピアが得意とする居抜き出店ではなく新設店であり、今後の新規出店のモデルと目され、この先の新店の売場づくりに影響を及ぼすとみられる。前編では生鮮売場を解説した。後編は日配・加工食品などの売場を見ていこう。
調査日=2024年6月12、13、14日 ※本文中の価格はすべて本体価格
日配売場では人気NBを導入
日配売場はスペースを広く確保しゆったりとした印象の売場となっている。壁面に乳製品、和日配、ヨーグルト、冷凍食品を配置。平場にはチルド飲料、冷凍食品、アイスクリーム、パン、卵を置いて、「お客をワンウェイで誘導しよう」という意図が感じられる。
和日配は正面壁面66尺とその横の壁面32尺で展開。正面壁面の麺は下段で「イシメン」の「自慢のうどん180g×3」(99円)、「ちゃんぽん3食」(77円)、「焼きそば3食」(119円)を販売。納豆はオリジナル「雪静納豆3P」、「タカノフーズ・旨味まろやか昆布だし3Pパック」(77円)を中心に、こだわり商品として京都「高橋食品」の「近江納豆3P」「有機納豆3P」(129円)などを導入している。
豆腐は3Pパック(150g×3)がメイン。福岡県「三好食品」の「九州大豆ふくゆたか」(77円)のほか、「マルツネ・生しぼり豆腐」(129円)、「京豆苑・木綿豆腐130g×3」(79円)などで構成する。揚げも京都「豆泉庵」の「京揚げ1枚」(66円)、「厚揚げ4個」(79円)を揃える。
キムチは高麗食品の対応で、一夜漬けは泉洲名物の水ナスを展開。「よさこい・水なすお母さんの浅漬150g」(399円)、「丸作・水なす浅漬1個」(199円)、「天政松下・泉州水なす切漬」(100g当たり259円)など。漬物関連では長崎名産の「太平食品・ピリッ辛めし泥棒」、広島「山豊」の「むすとも」、愛媛県の「玉井民友商店」の「混ぜご飯の素」などで「めし友」コーナーと題して40品目を展開する。
このように、和日配は納豆、豆腐、揚げなど京都産を中心に、麺とキムチは地場商品に全国の銘品を絡めながら、関西地区ならではの商品構成と価格訴求力となっている。ワンウェイに誘導されながら、流れの中で買える点が魅力となっている。
洋日配では、乳製品は独立させてほぼ固定化された商品を展開。ヨーグルトも独立したコーナーで、プレーンヨーグルトでは他店では扱いがないことも多い「明治・ブルガリアヨーグルト」の扱いがあり、売場に厚みが増している。チルド飲料もほぼ固定化され、安定感のある売場となっている。
冷凍食品は壁面と平場で展開している。ギョーザは平場で「味の素冷凍食品」や「イートアンド・大阪王将」の扱いがあり、ヨーグルトと同様に売場に幅をもたせているが、価格訴求はせず、商品の存在感をアピール。アイスクリームでは2ℓの大箱を強化し、「アイガー・業務用2ℓ」、「弘乳舎・バニラアイス2ℓ」(999円)などを販売。
パンは販売スタイルを変えた。左側21尺で菓子パン、右側は食パン、つなぎに平台を3台置いて催事スペースにしている。菓子パンは「ヤマザキ」「パスコ」「フジパン」「第一パン」などの大手メーカーに加え、地場の鳴門屋製パン、オリエンタルベーカリー、オイシスに、岐阜県の十味惣などで構成。食パンはオリジナル「7/7」(シューナナ)、「巽製粉」、「パスコ・超熟」、「オイシス」の「パン屋さんの一本食」(299円)を展開する。パン売場が1つのゾーンとなって、催事が有効に機能している。
このように、洋日配は堅実な対応でロピアの基本スタイルを踏襲しているが、「明治・ブルガリアヨーグルト」、「味の素冷凍食品・ギョーザ」、「イートアンド・大阪王将ギョーザ」を導入したのは、より生活実態に即したアプローチをめざしているということなのだろうか。
加工食品売場は標準型に
加工食品売場のスペース構成比は25%と高く、催事が大きく寄与した。ただ、残念なのは新たな提案がなく、既存の商品を並び替えた印象を受けた。地域性を考え、堅実な対応を選択したのだろう。
前方に即席麺、米を置くが、後方を重視した配置となっており、催事を絡ませた構成になっている。
即席麺はカップ麺36尺、袋麺12尺とスペースは広く、扱いも約90品目あり、大型サイズを絡めた構成だ。日清食品をベースに「カップヌードルしょうゆ」「どんべい」(139円)を販売。袋麺は5袋入りは売れ筋商品と韓国商品などで構成、個食はご当地ラーメンを「藤原製麺」と「寿がきや」を軸に、「みなみかわ製麺・オホーツクの塩ラーメン」、「かまいし特産店・金の釜石らーめん」、「山田屋・山岡屋しょうゆラーメン」、「元祖長浜屋」など約40品目で構成。最近の店はスペースがなく商品を絞っていたが、標準スタイルに戻しているようだ。
後方もゆったりとした売場配置で、コーヒー33尺、カレー36尺などで展開。各カテゴリーはロピアの標準棚割りで個々のフェースが増え、品切れの棚は目につかなかった。目立ったのはソース売場でお好み焼きやたこ焼きに対応する商品は地元メーカーを絡めていた。
定番売場はゆったりした配置で落ち着きがあり、品切れ商品も少なかった。さらに売場が広くスペースが空いているので、エンドでのはみだし陳列も目についた。関西の匂いもいいが、今やロピアは全国区。ましてモデル店であればより注目度が高く、手本になる売場づくりが求められているのではないか。
種類・飲料売場は特別な対応はせず
酒・飲料売場は前方に飲料、後方に酒類を配し、両カテゴリーでゾーンを形成している。売場スペ―ス構成比が11%と高いのは催事スペースが多いからである。酒・飲料とも既存スタイルで新たなチャレンジはなかった。
この週のチラシにはロピアオリジナルの「黒烏龍茶2ℓ」(1本99円、6本499円)を掲載。その他飲料では「コカ・コーラ1.5ℓ」、「大塚製薬・ポカリスエット1.5ℓ」(169円)、「サントリー・伊右衛門2ℓ」(139円)を販売。棚は小容量と大容量に分離して陳列している。
酒も同様で、ビール系飲料と缶チューハイもほぼ売れ筋商品を揃え、下段はケース販売。日本酒は「久保田」「剣菱」「賀茂鶴」などの銘酒、焼酎乙類も同様に「黒霧島」「いいちこ」など売れ筋商品を並べる。ウイスキーも輸入・国産とも売れ筋商品で構成。ワインは21尺で価格帯別に陳列しており、1~3段目の棚は299円~1000円、4段目は1111~1999円、5段目は1999円~3999円をそれぞれ配置する。直輸入を含め値頃な価格帯である。標準スタイルで特別な対応を取っていないが、基本を重視したのだろう。
菓子売場は買いやすさを重視
ロピアの菓子売場はレジが混雑すると人だかりで購入が難しいが、この店は通路幅が10尺~14尺と広くなり、混雑時でも買えるようになった。定番は既存スタイルで新たな提案はなかったが、キッズ関連に力を入れているようだ。玩具菓子では「トーマン・トイズ」をはじめ、「アンパンマン」は9尺34品目を扱うなどメリハリをつけている。
菓子大袋は25尺73品目の扱い。「ロッテ・チョコパイ9個」(270円)など除外品はあるが、「不二家・カントリーマアム19個」(279円)、「ブルボン・アルフォート178g」(239円)は3個555円で販売するなどの対応がみられた。催事はレジ前やエンドなどで積極的に対応。課題を挙げるとすれば、「量感」の意識が強いという点。はみだし陳列が多いため、売場全体がやや雑に見えてしまうかもしれない。
窮屈さを解決、はみだし陳列に課題も
北加賀屋店は店舗正面から見ると、まさにこれが「ロピア」だという主張が伝わってくる。これまで見てきたように、広い入口に広い通路、とくにレジが並ぶと買えない菓子売場が10~12尺の広い通路j幅となっており混雑しても買物ができるようにしている。またセルフレジ6台を導入、生鮮ゾーンは間を取ってゆったりと配置されており、ロピアの物理的課題がおおむね解決されている。
売場配置、商品構成で新たなイノベーションを期待したが、売場の配置はバランスの取れた生鮮ゾーン、壁面配置の日配、平場の酒・飲料ゾーン、前方の菓子売場、後方の加工食品と、従来のロピアと同様だ。
商品構成については、生鮮では鮮魚売場の対面販売が目立つぐらいで大きな変化はなかった。日配も関西系商品は扱うものの、商品構成は変わらずほぼ固定化されている。加工食品もソースなど地元色を打ち出しているが、全体的には既存の定番売場を踏襲。今や全国100店規模になり現場主義を掲げる一方で、標準化も求められているのかもしれない。そのモデル店としての位置づけと意味づけが北加賀屋店にあるようだ。
新店のモデル店でもあり、店内は明るく、生鮮ゾーンの演出、壁絵などスマートな演出がなされている。それだけに陳列でもスマートさが求められる。
「ロピア」はディスカウントストアなのか食品スーパーなのか、はたまた日本型の「コストコ」なのか。それとも「ロピア」は「ロピア」なのか。その定義はないのが現状であるのかもしれない。ただ、お客も同業者もロピアの売場への関心は高い。スタッフも現場意識が強く、販売への執念を燃やしている。そのため加工食品・菓子売場ははみだし陳列が多く、売場がやや雑然となっている。催事展開は否定しないが、ロピアの強さはやはり定番売場であり、売場全体を鑑みた対応が求められているのではないだろうか。
(店舗概要)
所在地 大阪府大阪市住之江区北加賀屋3-5-37
開店日 2024年4月23日
売場面積 約780坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 230台
競合店 ダイエー北加賀屋店、ライフ加賀屋店