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田川店最速レポート トライアルの最新スマートストアは何がスゴイのか? 年明け「重量センサー付レジカート」登場へ

11月27日、トライアルカンパニー(福岡県/石橋亮太社長:以下、トライアル)が福岡県田川市に「スーパーセンタートライアル田川店」をオープンした。AIカメラやデジタルサイネージ、タブレット付きのレジカートといった最新のデジタル技術を導入した「スマートストア」を展開する同社。最新スマートストアの田川店はどのような店なのか――。

11月27日にリニューアルオープンした「スーパーセンタートライアル田川店」

スマートストアは全部で16店舗に!

 小売業界の関係者に「注目している小売企業は」と問えば、トライアルの名前を挙げる人は少なくないだろう。

 理由はもちろん、同社が展開する「スマートストア」の取り組みだ。スマートストアとは、AIやIoTといったデジタル技術を活用して省力化、高効率化を図る店舗を指す。

 トライアルは2018年2月の「スーパーセンタートライアルアイランドシティ店」(福岡県福岡市:店舗面積1200坪)の出店を皮切りに、続々と新規出店および既存店改装でスマートストアの展開を拡大している。

 主力の店舗面積1000~1500坪タイプの店舗だけでなく、18年12月には夜間無人営業を実現した小型店業態の「トライアルQuick大野城店」(福岡県大野城市:店舗面積約300坪)を、19年4月には食品、衣料・家電・住居関連品などをフルラインで揃えた大型店「メガセンタートライアル新宮店」(福岡県新宮町:店舗面積約3600坪)を出店。11月27日現在、同社のスマートストアの店舗数は16にまで増えている。

レジカート150台、AIカメラ350台、サイネージ60台を導入!

 最新スマートストアの田川店はどのような店舗なのか。

 2006年開業の店舗を改装してオープンした田川店。福岡県の中央部に位置する田川市内、平成筑豊鉄道伊田線「下伊田」駅から徒歩5分の場所にある“駅チカ”の店舗だが、周辺の環境はロードサイドに近い。商圏とするクルマで20分圏内には約10万人が居住し、シニア層が多いという。

入口すぐには青果売場が広がる。木目調のデザインを新たに採用した

 改装期間は1カ月ほどで、店舗面積は改装前とほぼ同じ約1500坪。食品のほか、ドラッグストア、家電、衣料、住居関連品の売場をワンフロアに備えた、いわゆるスーパーセンター(SuC)業態の店舗だ。

 改装の目玉は、タブレット付きの「レジカート」による「ウォークスルー決済」の導入である。アイランドシティ店、新宮店で採用したセルフレジ機能付きのレジカート150台を配備。2つの専用レーンを設けた。そのほか、お客の動線を認識する「AIカメラ」を店内各所に合計350台、デジタルサイネージを60台、生鮮売場を中心に電子値札約150枚を新たに導入している。

青果売場を中心に電子棚札約150枚を新たに導入

 改装前は通常レジのみだったという田川店。改装後の決済手段は、レジカートによる決済とセミセルフレジの2パターンとなる。セミセルフレジはお客の反応を見ながらフルセルフレジに切り替えていくという。なお、大野城店で導入したような、スマートフォンアプリによるセルフスキャン決済は採用していない。

スマートストア化で品揃えを最適化!

 スマートストア化にはどのような効果があるのか。同社執行役員福岡秘書室長の矢野博幸氏によれば、レジカート導入店舗では、レジ人員の人時を約20%削減する成果があがっているという。また、タブレットに「おすすめ商品」を表示する機能の効果もあって、レジカート利用者の買い上げ点数はほかのお客と比べて4~5点ほど多いというデータも得られているとのことだ。

レジカートによるウォークスルー決済の様子。若い層だけでなく、オープン初日からシニア層もよく利用していた

 さらに販売データとあわせてAIカメラで「お客が商品を手に取ったかどうか」というデータを蓄積することで、品揃えの最適化という点で一定の成果が見られている。実際に田川店では、改装前は約7万5000あったSKU数を改装後は約5万まで絞り込んだ。

 「田川店では、自転車やペットのケージといった売場スペースを取るわりに購買頻度の低いカテゴリーを見直した」(トライアル執行役員本部改革推進室リテールAI推進プロジェクトリーダーの内山智博氏)。品揃えを売れ筋に絞ることで、補充効率が向上し、さらなる省力化・省人化効果も見られているという。

売場の随所でサイネージを配置し、商品紹介の画像・映像を流している

 いわゆる「死に筋商品」をカットする一方で、田川店では浮いたスペースを利用して、総菜売場にあるレンジアップ商品などの「中食」を切り口とした商品や、競合する家電量販店で扱いの弱いスマートフォン関連アクセサリーなどの売場を拡大・強化している。こうした施策によって、田川店では改装前から10億円増となる年商43億円の達成をめざす。

福岡・佐賀の全57店舗をスマートストア化!

 内山氏によれば、スマートストア1号店であるアイランドシティ店では、すでにお客の45%がレジカートを利用して買物をしており、大型店の新宮店でも利用率は30%に上るという。田川店でも利用率40%を当面の目標とし、お客に利用を促していく方針だ。

 トライアルは来年2月をめどに、重量センサーを備えた新型レジカートの導入を始めるという。新型レジカートでは、お客がスキャンした商品の重量がマスターに登録されている重量と一致しない場合にアラートを飛ばす機能が実装される予定で、これにより専用レーンでの従業員のチェック作業が大幅に軽減されると見込まれる。

年明けから重量センサーを設けた新型レジカートが登場するという(写真は田川店のレジカート)

 さらにトライアルは今後約2年間で福岡・佐賀で展開する57店舗すべてをスマートストアに転換する方針を打ち出している。「トライアルのドミナントエリアにある店、かつSuC業態の店舗を優先的に転換していく」(内山氏)。今後新規出店する店舗もすべてスマートストアとなる見通しだ。

 いよいよ本格化したトライアルのスマートストア展開。トライアルは全国248店舗(19年11月27日時点)の店舗網を持つ。福岡・佐賀エリアでのスマートストア化がある程度進めば、関西・中部・関東でもスタートする可能性は十分に考えられる。

 食品小売業界はここ数年で一気にセミセルフレジが普及しており、昨今の人手不足の事情を踏まえると、レジカートをはじめとしたスマートストア技術がいつの間にか食品スーパーのスタンダードになるかもしれない。先進的な技術を積極導入するトライアルの取り組みを“対岸の火事”と眺めているわけにもいかなそうだ。

(店舗概要)
店名 スーパーセンタートライアル田川店
オープン日 2019年11月27日
営業時間 24時間
店舗面積 約1500坪
売場面積 約1300坪
年商目標 43億円
従業員数 正社員20人、パート・アルバイト110人(8時間換算)
取り扱いアイテム数 約5万SKU
レジ台数 レジカート専用ゲート2レーン
セミセルフレジ12台(精算機15台)
イートイン席数 24席