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脱炭素社会に向け40%節電をめざすローソンが出店したモデル店、6つの取り組みとは

ローソン(東京都/竹増貞信社長)は113日、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを結集したモデル店を、神奈川県川崎市にオープンした。2013年度対比で電気使用量40%CO2 排出量55%の削減をめざして運営するという。その具体的な取り組みについて、ローソン広報担当に詳細を聞いた

 2050年目標はCO2排出量ゼロ

将来的にCO2排出量ゼロをめざすローソン

 ローソンでは、2050年にCO2排出量や食品ロス、容器包装プラスチックをそれぞれゼロにすることを目標にした環境ビジョン「Lawson Blue Challenge 2050!」を掲げている。その一環として、CO2排出量の削減につながる電気使用量の削減のための取り組みを結集したモデル店を出店した。

 モデル店は、「川崎」駅よりバスで約10分の位置にある「ローソン川崎中島三丁目店」(以下、川崎店)だ。片道2車線/両側4車線の大通りから一本入った道路沿いに立地する、平屋建ての店である。ローソンは以下の6つの取り組みによって、2013年度対比で電気使用量40%CO2 排出量55%の削減をめざす。

①弁当、総菜、生鮮食品などを陳列する冷蔵ショーケースヘのガラス扉の設置

②アイスなどを陳列する冷凍平台ショーケースヘのアクリル扉の設置

③ドリンク剤をドリンク用冷蔵ショーケースで販売(ドリンク剤ショーケースの廃止)

④ドリンク用冷蔵ショーケース扉の省エネ化

⑤太陽光発電システムの導入

⑥エネルギーマネージメントシステム(EMS)の導入

冷蔵・冷凍ショーケースの省エネ 

 では、実際に6つの取り組みについて順番に見ていこう。

①冷蔵ショーケースヘのガラス扉の設置
②冷凍平台ショーケースヘのアクリル扉の設置

  通常、弁当や総菜、生鮮食品を陳列する冷蔵ショーケースはオープンタイプだが、川崎店ではペアガラス(複層ガラス)扉を取付け、外気の侵入と冷気漏れを防止する。扉の底辺に接するエア・コンディショナーから上方に向けて風を送ることでガラス表面の結露を防ぐ工夫は、初の試みとなる。

 コロナ禍で清潔感に対する意識が変わったお客は多く、反響は悪くないという。また、アイスなどを陳列する冷凍ケースには、横にスライドして開閉するアクリル扉を取付け、同じく外気の侵入と冷気漏れを防止している。

③ドリンク剤をドリンク用冷蔵ショーケースで販売
④ドリンク用冷蔵ショーケース扉の省エネ化

 従来、ドリンク剤やゼリー飲料は、店舗入口付近に配置した専用ショーケースに陳列する場合が多かったが、川崎店では撤廃。ドリンク剤は通常の飲料が並ぶ冷蔵ショーケースで販売する。この試みは川崎店が初だ。

 また、ドリンク用冷蔵ショーケースでは、省エネを目的に、扉のフチから出る結露防止用ヒーターの出力を抑えている。商品をより見やすくするための工夫として扉枠とガラスを薄くしているのも特徴の1つだ。

課題は太陽光発電の普及

⑤太陽光発電システム
⑥エネルギーマネージメントシステム(EMS)

 川崎店では建物屋上に太陽光パネルを設置し、発電した電力の全量を店舗の消費電力にあてている。同システムはすでに2000店舗で導入済みで、1店舗当たりの総消費電力の約15%ぶんを創出できるという。

 太陽光パネルの発電量は、エネルギーマネージメントシステム(EMS)によって本部でモニタリングできる。電力使用量や温度、湿度などを時刻別の棒グラフにして一目で確認でき、電気使用量と発電量の見える化を実現した。

 以上の取り組みにより、川崎店では電気使用量の2013年度対比40%削減をめざすとしている。広報担当は「目標と位置づけつつも、40%削減は見込みに近い」と話す。今後は、同様の設備を取り入れた店舗をいくつか出店して検証を行い、2024 3月以降はすべての新店での設備導入をめざす。既存店においても、2024年度以降の改装では設備導入を推奨していく予定だ。

 最終的な目標であるCO2排出量ゼロに向けては、太陽光発電による電力の創出がカギになる。川崎店のような日当たりのよい平屋建ての店舗であれば十分な発電量が期待できるが、日射量の少ない東北地方や店舗屋上面積の少ない都心部の店舗では、太陽光パネルによる発電は効率よく機能しない。そのため、全店での普及が難しいのが現状の課題だという。