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ギフト市場、定番のギフトは縮小傾向 カジュアルギフトの需要拡大がカギ

お世話になった人へ贈る、中元や歳暮といったフォーマルギフトは、長期的に縮小傾向にある。

一方で、家族や友人など親しい間柄で気軽に贈り合うカジュアルギフトは、新たなコミュニケーション手段として定着しつつあるようだ。

中元と歳暮は減少傾向、主要商品が前年割れ

 中元と歳暮といったフォーマルギフト市場は近年で縮小傾向が続いている。背景にはライフスタイルの多様化や贈答文化の変化が大きいと考えられる。とはいえ、フォーマルギフトは一度贈答関係が形成されると継続して贈る傾向があるため、一定の需要は今後も維持される見込みだ。

フォーマルギフトが長期的に縮小傾向にある一方、カジュアルギフトは、新たなコミュニケーション手段として定着しつつあるようだ(i-stock/shironagasukujira)(i-stock/Promo_Link)

 一方、家族や友人など親しい間柄で贈り合うカジュアルギフト市場は堅調に推移している。コロナ禍以降、対面機会が減少したことで、ギフトが「気持ちを伝えるコミュニケーション」としての役割を果たしており、その傾向が現在も続いている。

 2024年の中元期(6~8月)と、歳暮期(11~1月)におけるギフト市場全体は、減少傾向だ。KSP-POSデータによると、ギフトの定番であるビールギフトは、中元期の6月の金額PIが1155円で対前年同期比0.5%減、7月は4640円で同8.3%減、8月は2858円で同9%減。歳暮期の11月は1298円で同9.2%減、12月は4538円で同10.7%減、25年1月は468円で同2.1%増。ビールギフトは1月を除き、いずれも前年割れとなった。

 またハム・ソーセージギフトも同様に厳しい状況となっている。中元期の6月の金額PIは682円で同2.3%増、7月は1689円で同6.9%減、8月は1040円で同11.8%減。歳暮期の11月は1474円で同2.2%減、12月は4705円で同9.9%減、25年1月は432円で同11.5%減となった。24年は主要ギフトカテゴリーであるビールやハム・ソーセージが軒並み前年を下回る結果となった。

調味料ギフトが好調、 生活必需品として重宝

 食用油ギフトの中元期の6月の金額PIは351円で対前年同期比2.7%減、7月は1007円で同18.8%減、8月は968円で同14.3%減。歳暮期の11月は510円で同11%減、12月は1577円で同19.7%減、25年1月は348円で同17.6%減。食用油の値上げにより、23年は食用油ギフトの需要が高まり、反動で24年は大きく前年割れとなった。

 こうしたなか好調だったのが、オリーブオイルギフトだ。原料価格の高騰に伴う値上げにより、日常使いが難しいと感じる消費者が増えるなか、「もらって嬉しい価値のあるギフト」として支持を集めた。25年の中元期に向けては、話題のアマニ油ギフトが注目されている。日清オイリオグループでは、「日清アマニ油」単品を詰め合わせたギフトを新たに発売した。

 24年中元・歳暮で唯一好調だったのが、調味料ギフト。中元期の6月の金額PIは121円で同22.4%増、7月は359円で同14.3%増、8月は473円で同10.2%増だった。歳暮期の11月は164円で同10.3%増、12月は697円で同50.5%増、25年1月は191円で同4.1%増。物価上昇に伴う生活必需品としての価値向上がギフト需要に直結したとみられる。

 フォーマルギフト市場は今後も縮小が見込まれるため、個人の嗜好や価値観に寄り添ったカジュアルギフトの提案が、今後のギフト市場活性化のカギとなりそうだ。

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