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日本酒市場、食品とのクロスMDを強化し、日本酒とのタッチポイントを増やす

昨今の物価高の影響から、節約志向による大容量品と小容量の付加価値品という消費の二極化が進む日本酒のカテゴリー。

長年、中高年男性が支えてきた同カテゴリーだが、この先市場を盛り上げていくには、若年層や女性などの新たなユーザーの獲得が重要となる。

日本酒は物価高の影響から、節約志向による大容量品と小容量の付加価値品という消費の二極化が進む(i-stock/kuppa_rock)

市場は前年に対し微減、純米吟醸酒は好調に推移

 KSP-POSデータによると、2024年4月から25年3月の日本酒カテゴリーの期間通算金額PIは、対前年同期比2.9%減の9420円、数量PIは同3.5%減の14.67となった。

 月別のPIの動向を見ると、金額・数量ともにすべての月で前年に対し微減で推移している【図表】

 サブカテゴリー別の金額PIをみると、純米吟醸酒は前年を上回っている。対前年同月比で4.8%増、月別の推移を見てもすべての月において前年越えで推移しており、好調の様子が見て取れる。

 アフターコロナに入り、外飲みを含めた消費者のライフスタイルはコロナ渦以前に戻りつつあるものの、昨今の物価高の影響もあり生活者の消費マインドが変化。家飲み志向は一定して続いている。

 市場の特徴としては、コストパフォーマンスの高い大容量品と、健康志向による糖質オフ系や小容量のちょっといいものといった付加価値タイプという消費の二極化も見られる。

 大関では基幹ブランド「のものも」が発売40周年を迎えた。同社では従来品よりも幅が15mm小さい900mlスリムパックを開発し、「のものも」および「上撰金冠はこのさけ」「生貯蔵酒」で展開。

 さらに純米酒が好調に推移していることから、今期はリーズナブルでありながらも純米酒ならではの味わいやコク、旨味を存分に感じることができる「純米酒 穂水720ml瓶詰」のリニューアルも実施している。

季節感のある演出で、日本酒の価値を訴求する

 日本酒のカテゴリーは例年、気温が下がり店頭に鍋物商材が増える10月ごろから数字が上がり、歳暮や年賀といったギフト需要および人の集まる機会が増える年末年始が売上の山場となっている。

 日本酒カテゴリーは長年、中高年のヘビーユーザーがけん引してきた市場だが、今後マーケットを拡大していくためには、若年層や女性といった日本酒ビギナーを獲得できるような商品展開や販促施策が求められている。

 大関の「レモンにごり酒300ml瓶詰」は同社が参画するJA全農との取り組み「ニッポンエールプロジェクト」での共同開発商品。同品は国産米100%由来のにごり酒にレモン果汁をブレンドすることで、レモンの豊かな香り・酸味とにごり酒のまろやかな旨味がマッチ。レモンテイストのRTDやクラフト飲料を好む若年層に訴求していく。

 さらに「のものも」ブランドからは「のものも涼香蔵しぼり2Lはこ詰」を展開。同品はすっきりとした後味は保ち、炭酸と氷を入れて楽しむ「酒ハイ」でも、香りが引き立つ日本酒。大関では爽快感のある「酒ハイ」の飲み方提案で、夏場の需要を盛り上げていく考えだ。

 今後、需要を広げていくには、季節感のある演出や総菜とのコラボなど、日本酒ならではの楽しみ方を訴求することが重要となる。コロナ禍以降広がった家飲みの習慣から、30~50代など比較的若い世代も日本酒に挑戦し始めており、自分事としてとらえられるような施策でトライアルにつなげることが、マーケットの拡大につながるだろう。

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