ベイシア(群馬県/橋本浩英社長)グループの中核企業の1つであるワークマン(群馬県/小濱英之社長)。同社は8月26日、東京国際フォーラムで秋冬の新作発表会を開催した。暖冬の影響で売上が低迷する重防寒アウターに代わる「新製品」に加え、商品の機能性への「格付け」を打ち出した。新たなチャレンジは同社の業績の突破口となるか。
暖冬下のアウター低迷打破へ「着る断熱材」を投入!
職人だけでなく一般消費者のニーズにも対応する「ワークマンプラス」をはじめとした新フォーマットの展開で快進撃を続けてきたワークマン。だが、足元では、同社の成長に陰りが見え始めている。
同社の24年3月期通期業績は、営業総収入が対前期比3.4%増の1326億円と増収を果たしたものの、営業利益は同4.0%減の231億円と2期連続の営業減益に沈んだ。減益要因の1つが、暖冬による重防寒アウターの売上減少だ。ワークマンによれば、重防寒アウターの売上高は2期前との比較で16%も減少したという。
この状況から同社は、暖冬下で着用するアウターに悩む消費者ニーズに対応した商品が必要と判断。そこで開発されたのが、今回の新作発表会でお披露目された「X Shelter」だ。住宅の断熱材から着想を得たという同商品のキャッチコピーは「着る断熱材」。最大の特長は、外部環境を無効化する新素材を採用した点だ。新素材は、95%以上の独立気泡率で熱の伝導を抑える「断熱シート」と、外部環境の光を蓄えて発熱する「発熱わた」を組み合わせている。これらの機能により、どんな気温下でも衣服内を快適な温度に保つことが可能となった。
開発にあたっては、連携協定を結ぶ日本赤十字看護大学附属災害救護研究所と提携。災害時の使用を想定し、断熱性に加えて、通気性も実現した。「厳冬でも暖冬でも快適なウエア」に仕上げている。同社の土屋哲雄専務は「うまくいけば、1着で秋冬を過ごせる」と自信を見せる。
「X Shelter」シリーズの第1弾では、「断熱ジャケット」(3900円、以下税込)や「断熱ベスト」(2900円)のようなカジュアルウエアから、「断熱AEGISプレミアム防水防寒スーツ」(9800円、10月発売)のように防寒と防水も備えた高機能な商品まで、オンライン限定商品2アイテムを含めた計8商品を展開する。全店舗でシリーズ累計20万点、総売上高目標10億円を掲げ、「これほど高い目標を設定したのはワークマン43年の歴史で初めて。それだけの自信作」という土屋専務の言葉からも同社の強気な姿勢がうかがえる。
機能の「格付け」で幅をわかりやすく
同社は「X Shelter」のような“尖った”機能を持つ商品を毎年開発している。そういった各商品の機能をお客にわかりやすく伝えるため、ワークマンでは
・・・この記事は有料会員向けです。続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。