原材料の高騰やインフレが長引き、消費者の財布の紐はより一層固くなっている。こうした状況下で、カギとなるのは商品の値ごろ感と価値をいかに最大化できるかだ。本稿では年末・年始商戦を中心に精肉部門の販売戦略について月ごとの施策を紹介したい。
市況分析&今冬の方向性
購買動機を刺激し、年末年始を勝ち抜く
前回(2024年6月1日号掲載分)でも触れたように、長引くインフレ下で消費者の節約志向がいっそう強まり、精肉商品のなかでも値ごろ感のある豚肉の需要が高まっている。今後、全国的に本格的な豚肉の対応策が求められるだろう。
一方、豚肉の需要が高まることで、国産豚肉の枝肉相場高騰も予想される。単価上昇に伴って売上アップは見込めるものの、利益を確保するために、商品開発や商品企画、販促方法を見直さなければならないだろう。これは豚肉だけでなく、精肉部門全体に言えることだ。
他方、年末・年始商戦の仕入れにおいては、仕入れ時期の二極化が進むことが予想される。大手小売企業では数量を確保するために肉を部位別に仕入れ冷凍保存をすることが多いが、今年は銘柄黒毛和牛を中心とした肩ロース・ロース部位の仕入れ時期がより早まるだろう。一方で、年末商戦に合わせ、11月の後半に半丸枝肉をチルドで仕入れることによって、よりよい品質で販売しようとする企業も出てくるはずだ。
いずれの手法をとるにしても、精肉の値ごろ感やグレードの高さをいかにうまく打ち出して、外食回帰のなかでお客を囲い込めるかがカギとなる。
長引く原材料の高騰にも目を向けなければならない。クリスマスや年末・年始商戦における肉総菜の売価は、
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