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職人品質のコモディティ化で進めるトライアルの総菜SPA戦略

生鮮をはじめとした高品質・低価格の食品を武器に、全国で積極的な出店を続けるトライアルホールディングス(福岡県/亀田晃一社長:以下、トライアル)。なかでもここ数年で品質と品揃えが飛躍的に向上し、同社の成長に大きく寄与しているのが総菜部門だ。同部門を運営するのは、グループ傘下の明治屋(福岡県/大塚長務社長)。「職人品質のコモディティ化」をコンセプトに、調達・調理・開発・製造・配送・販売までを横ぐしを通して自社で取り組み、競合他社との圧倒的な差別化を図っている。

コンセプトは「職人品質のコモディティ化」

 主力のスーパーセンター(SuC)業態を中心に、全国に300店舗超を展開、2024年6月期の売上高は7179億円(対前期比9.9%増)、今年3月には東証グロース市場への新規上場を果たすなど、国内小売業界で飛ぶ鳥を落とす勢いを見せるトライアル。同社の力強い成長を支えている要素の1つが、総菜強化の取り組みだ。

明治屋が中心となって進化を続ける総菜が、トライアルの成長を支える重要な要素になっている

 今年7月17日、北陸初出店となった「スーパーセンタートライアル富山マイプラザ店」──。総菜売場にあまたの商品がぎっしりと並ぶなか、ボリューム陳列でひときわ存在感を放っていたのが「三元豚ロースかつ重」(299円:以下税込)だ。「めちゃくちゃ安い! 」「まだ温かくておいしそう」。お客は感嘆の声をあげながらどんどんカゴに入れていく。

 このロースかつ重は、トライアルの“総菜革新”を象徴する商品だ。やわらかさとほどよい弾力が両立した肉質の「三元豚」を用い、割下のベースには枕崎産鰹節の一番だしを使用。素材と調理法にとことんこだわりながら、税込299円という驚きの安さで提供する。今では年間約700万食を販売する(23年1月1日~12月31日実績)、いちばんの売れ筋商品となっている。

明治屋の大塚長務社長

 「かつ重に限らず、自社商品については原料調達から商品開発、製造、販促までを、各領域の専門人材がすべて一貫して担っている。その体制のもと、プロの味を手頃な価格で楽しめる総菜の提供を実現している」。こう説明するのはトライアルグループ傘下で総菜の開発・製造を行う、明治屋の大塚長務社長だ。

 大塚社長が総菜部門の運営においてこだわるのは、「職人品質のコモディティ化」という考え方だ。同社に属する料理のプロのこだわりを、総菜というきわめて身近な商品にも反映し、トライアルの総菜を競合に対する差別化部門にする。これが明治屋のミッションであり、めざす方向性である。

部門の壁を越えた「メニュー起点」の開発進む

 かつ重のような大ヒット商品も生まれるなか、明治屋が直近で力を入れているのが

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