健康志向の高まりや食の多様化、SDGsの意識向上により、年々関心が高まっているプラントベースフード。そのなかでも人気を集めているのが植物性ミルクだ。豆乳やアーモンドミルクのほか、さまざまな素材の植物性ミルクが登場し市場を賑わせている。この春は大手乳業メーカー3社が市場に参入したことで話題となり、さらに市場は盛り上がりをみせている。
23年度は豆乳、アーモンドミルクともに堅調
植物性ミルクとは豆やナッツ、穀物など植物由来の原料からつくられる飲み物で、低糖質・低カロリー、しかも栄養価が高いのが特徴だ。植物性ミルク市場で大きなウエートを占めるのが、たんぱく質が豊富な豆乳。インテージSRI+によると、豆乳カテゴリーの期間通算(2023年5月~24年4月)の市場規模は432億円で対前年同期比0.9%増となった。価格改定の影響で微増となったが、豆乳市場は中期的にみて横ばい状態だ。
日本豆乳協会によると23年の豆乳類全体の生産量は対前年比4.3%減。無調整豆乳は微増だったものの、調整豆乳やフレーバー豆乳が苦戦した。健康志向の高まりで、甘味料などを使用していない無調整豆乳に需要が集まった。また、無調整豆乳は料理での活用も広がっている。
一方、アーモンドミルクの期間通算の市場規模は93億円で対前年同期比5.5%増となった。価格改定の影響もあり堅調に推移している。ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富なアーモンドミルクは、さまざまな商品が発売され、生活に浸透しつつあるといえそうだ。
世界的にも注目を集めているオーツミルクは、ダノンジャパンの「アルプロ」が栄養やおいしさ訴求で市場をリードしている。
大手乳業メーカー3社が参入 市場は大きな転換期へ
健康志向の高まりや食の多様化、SDGsの意識向上により、植物性ミルクの関心は高まっているが、牛乳と比べて飲用機会は少なく、認知もまだまだ低いといえる。ただ今年は大手乳業メーカー3社が植物性ミルク市場に参入したことで話題となり、市場が活性化することが期待されている。
明治では、全粒オーツ麦をまるごと使用した「明治まるごとオーツオーツミルク」を新発売。全粒オーツ麦を使用しているため、全粒オーツ麦由来の食物繊維である「全粒穀物繊維」と、それに含まれる水溶性食物繊維の「β‐グルカン」を含有しているのが特徴だ。
雪印メグミルクでは、低脂質でたんぱく質や食物繊維が豊富なえんどう豆に着目した「Plant Labelピードリンク」と、オーツ麦を使用した「Plant Labelオーツドリンク」を新発売。世界的に注目されているえんどう豆を使用した植物性ミルクを発売することで、新たな需要を掘り起こす。
森永乳業では、オーツ麦、ココナッツ、ひよこ豆、大豆、アーモンドの5種の植物素材をブレンドした「Plants&Me」を新発売。5種類の植物素材をブレンドしたことで、ビタミンEや食物繊維、カルシウム、葉酸などのさまざまな栄養素を摂取することができる。
新ブランドの認知とトライアルを獲得するために各社では、プロモーションを強化していることから、市場が活性化することは間違いなさそう。今年は植物性ミルク市場の大きな転換期になりそうだ。