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競争力を高める商品政策と価格政策

生活者のどのような購買動機をねらうか

 チェーンストアは多店化することで規模の利益を享受し、多くの生活者に経済的恩恵と未知の便利さ、そして楽しさを提供するシステムである。したがって全国津々浦々に出店することが前提となる。

 そこで、扱う商品は「客層は広く、購買頻度は高い品種、品目」であることが第一の条件である。逆に言うと一部のお客しか興味を示さない特殊な商品は扱わないし、興味を示しても数年に1度しか需要のない低購買頻度品も扱わない。

 「客層が限定される商品も低購買頻度品も需要があるにはあるから、扱うべきではないか」という反論は予測できるが、排除しなければならない。それを扱えば来店客のショートタイムショッピングの妨げになるからだ。選択肢が多ければ多いほど品目選定には時間がかかるから、ディスカウンティングフォーマットは客層限定品と低購買頻度品は扱わない。

(i-stock/Hispanolistic)

 商品構成に決まりはない。したがって消費者の購買動機のどこをねらうかが重要となる。「大衆の日常の食生活を賄う」「大衆の1年間の暮らし全般を賄う」「家族の服飾全般を賄う」「ベビー、幼児の暮らし全般を賄う」など、ねらう買物動機を決めなおし、商品構成を、修正するのではなく、ゼロから組みなおさねばならない。その基本条件が「客層は広く、購買頻度は高い」ことである。それを前提に商品部門と品種、品目を再構築するのだ。

 各商品部門が共通に、最も客数の多い商品ライン(価格帯)を集中的に扱い略取する「ラインロビング」をめざすのである。結果、商品部門間の商品レベルが統一されて、店全体の回遊率が高まり、買上品目数が確実に増える。

 本連載の第4回(『消費者ニーズの発見方法』 )で述べたとおり、令和新時代の大衆の生活パターンは昭和、平成の時代と比較して大きく変化している。その実態を調べ、最も効果的な商品の組み合わせを決めなおすのだ。

 食品も非食品も生活者に浸透している既知の商品群はもちろん扱うが、それだけでは

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