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パン市場、朝食に欠かせないパンは値上げの影響少なく堅調に推移

食品の値上げラッシュが続いているが、朝食に欠かせない食パンは大きな影響はなく堅調に推移しており、調理パンや菓子パンも前年を上回って推移している。各社ではユーザーニーズをとらえた新商品を投入して需要拡大を図っている。

食パンのニーズの多様化により
ハーフやミニサイズが好調

 KSP-POSの食パン・食卓パンの期間通算(2022年1月~12月)の金額PIは、2万2037円で対前年同期比5.2%増、数量PIでは153.79で同3.2%減となった。原料や燃料費の高騰、円安などの影響により、食品や日用品の値上げが相次いでおり、22年7月に各社一斉に値上げが行われた。そのため平均単価は前年よりも12円程度アップしていることから、数量では前年割れも金額PIで前年を上回った。毎日の食卓に定着していることに加え、他の商品よりも割安感があるため、値上げの影響は小さいといえそうだ。

食品の値上げラッシュが続いているが、朝食に欠かせない食パンは大きな影響はなく堅調に推移しており、調理パンや菓子パンも前年を上回って推移している。(i-stock/key05)

 食パンでトレンドとなっているのが、ハーフサイズ食パンやミニサイズのバラエティーブレッド。世帯人数の減少から1斤では多すぎるという人や「少量をいろいろ試したい」というニーズが高まっている。1斤の食パンが中心の売場でも主力のブランドのハーフサイズのラインアップが広がっている。

 山崎製パンではハーフサイズ食パンのラインアップを広げるほか、ミニサイズのバラエティーブレッドの新商品を投入。今年1月には国産原料を100%使用し、トーストするとサックリと軽い食感が楽しめる「国産小麦ライトブレッド」を発売した。

 敷島製パンでは、今年2月にミニブレッドの新たなシリーズとして「罪なバターブレッド4枚入」「癖になるにんにくチーズブレッド4枚入」の2アイテムを関東、中部、関西、中国、四国地区で発売。遊び心やトレンド感を取り入れたミニブレッドで、今回のテーマは「背徳感」。ミニブレッドだからこそ楽しめる味わいに仕上げた。

 また、健康意識の高まりで伸長しているのがライ麦や全粒粉、もち麦入りの雑穀系のパン。食物繊維などが豊富で、独特の食感が人気だ。山崎製パンでは「ダブルソフト全粒粉入り」や「十二穀ブレッド」「減塩食パン超芳醇」「糖質ひかえめブレッド」などをラインアップしている。

菓子パン、調理パンともに堅調に推移

 調理パンの期間通算の金額P Iは、8671円で対前年同期比5.2%増となった。調理パンはランチなどの需要が高く、在宅勤務が増えたことで、一時縮小していたが、22年に入って需要が戻ってきているようだ。

 一方、菓子パンも堅調で、期間通算の金額PIは、2万2610円で同8.8%増。7月の値上げ以降も金額、数量ともに前年を上回った。菓子パンでは、商品名に「生」を冠した商品が続々発売されている。生地やクリームで柔らかい食感を楽しむ「生ドーナツ」は、2006年、15年に続く第3次ドーナツブームの象徴となっている。また、フジパンでは「生ろぉる」「生くろわっさん」など、「生セレクション」として、ラインアップを広げている。柔らかく、とろけるようなくちどけのパンがトレンドといえそうだ。

 コロナ以降、生活者の嗜好も多様に変化しており、主食であるパンも今後どのような動きをするのか予測するのが難しくなっている。