春は総菜部門にとっても、花見、ゴールデンウィーク、母の日といったイベントや、新生活を迎えた新たな顧客の取り込みなど、商品や販促の工夫でチャンスが広がる時期だ。その一方、近年は異常気象に売上を左右されることも多く、お客のニーズも日々変化している。本稿では、ハレの日だけでなく日々の売場づくりや販促のヒントを紹介する。
市況分析&来春の方向性
押さえておきたい2つの直近動向
本題に入る前に、まず直近の注目すべき動向を2点共有しておきたい。
まず、1点目は「福袋」に関してである。お中元やお歳暮など形式的な贈答品の需要が縮小する中、百貨店各社ではとくに食品の福袋を強化している。従来は酒類や加工食品が中心だったが、冷凍技術の進化により、最近は総菜系の福袋の販売も増えている。
たとえば三越伊勢丹の福袋では、四陸(フォールー)の「本格中華詰め合わせ」( 税込3672円)に、海老チリ、酢豚、かに玉などの6種類の中華総菜が含まれる。また、京樽(きょうたる)「冷凍鮨6パックセット」(同4796円)は人気の茶きん鮨、焼鯖鮨、穴子鮨が各2パックずつ入っている。
これらの商品は年内に配送が可能で、年末年始のごちそう需要にも対応できる。これまで、食品スーパー(SM)各社は年末年始の集いの場に向けたごちそうニーズを「予約カタログ」というかたちで事前に取り込んでいたが、福袋形式にすることで、さらに「ワクワク感」をプラスできるのではないか。
昨今、年末年始に休業する店が増えているため、冷凍のごちそう総菜の伸びしろは大きい。今年の年末年始の動向に注目し、来年以降に生かしたい。
もう1点は、農林水産省が設置した
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