盆商戦が終われば、早くも年末商戦に意識を向ける時期になる。本格的な人流回復とともに外食需要が復調傾向にあるほか、飲酒シーンや嗜好の多様化なども進み、酒類部門ではこれまで以上に消費トレンドや自店の顧客特性に目を向ける必要性が増している。年末商戦を見据えつつ、とるべき方向性を提言したい。
「ビール中心」の売場は若年層には響かない
本連載で執筆するたびに言及しているが、酒類のトレンドを把握するには飲食業界(業務用市場)での消費動向の確認が重要だ。
飲食店での飲酒(外飲み)を好む消費者は、自宅での飲酒頻度も高く、食品スーパー(SM)やコンビニエンスストア(CVS)における酒類の購入頻度や購入金額も高い傾向にある。こうした層は飲食店で体験した「ブランド」「味わい」「食とのマッチング」「飲ませ方(飲み方)」などを家庭でも求めるため、最新の飲食トレンドをとらえた提案が必要となる。
では、直近の外飲みのトレンドはどのようなものになっているのか。2023年度の酒類の消費支出金額は、コロナ前(19年度)対比で86%程度になっている。これは大手居酒屋チェーンでの販売金額が、いまだコロナ前(同)対比で70%以下と低空飛行を続けていることが要因だ。一方、ファストフード店、ファミリーレストランやカフェでの販売は好調で、2ケタ増の業態が目立つ(日本フードサービス協会調査)。
つまり、「居酒屋で痛飲する」のではなく、「洒落たカフェで軽く飲む」といったふうに、「飲む場所」も「飲み方」も変化しているということである。
また、年代別の飲酒傾向でも興味深い事実がある。SBSの調査によると、50・60代では「最初に飲む酒類」として「ビール」を挙げたのは75%超と圧倒的で、いわゆる「とりビー(とりあえずビール)」世代である。それが30・40代になると60%強、さらに20代になると45%以下まで下がる。20代では半数以上が最初からビール以外の酒類を頼むのである。
これに鑑みて、たとえば自店のビール売場のスペース構成比を再検討することも必要だろう。若年層の取り込みを全店で掲げていながら、酒類売場はミドル~シニア向けの棚割りになっているかもしれない。
RTDは品揃えが勝負に
次に食品小売の酒類部門を取り巻く環境に目を向けると、年末商戦に向けて厳しい状況が続く可能性が
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