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セブン&アイが高価格帯PBの冷凍ラーメンを新発売! あえて「具材」を入れなかった理由とは

セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)は129日から、プライベートブランド(PB)「セブンプレミアム ゴールド」より「らぁ麺 飯田商店」監修の冷凍ラーメンと「中華蕎麦 とみ田」監修の冷凍つけ麺を同時発売する。本稿では、両商品の発売に至るまでの経緯と商品開発の工夫について見ていきたい。

「金のパスタ」のヒットと麺類商品の好評が開発を後押し

「金の醤油らぁ麺」(税込494円)と「金の濃厚つけ麺」(税込516円)

 セブン&アイが展開するPB「セブンプレミアム」の最上級ブランド「セブンプレミアム ゴールド」。129日、同ブランドから「らぁ麺 飯田商店」監修の冷凍ラーメン「金の醤油らぁ麺」(税込494円)と「中華蕎麦 とみ田」監修の冷凍つけ麺「金の濃厚つけ麺」(税込516円)を発売する。

 開発のきっかけは、20223月に「セブンプレミアム ゴールド」から発売した冷凍食品「金のパスタ」シリーズの「金のボロネーゼ」「金の蟹トマトクリームパスタ」(どちらも税込429円)のヒットだ。両商品は発売から半年で累計520万食を売り上げた。

 セブン‐イレブン・ジャパン(東京都/永松文彦社長:以下、セブンイレブン)の商品本部デイリー部シニアマーチャンダイザーの園田康清氏は、「『金のパスタ』は、冷凍食品でありながら、『間に合わせ料理』としてではなく一般的な料理としてお客さまに受け入れられるようになった」と話す。

 また、セブンイレブンが来店促進のために毎月開催する「フェア」のなかで、「麺フェス」をはじめとした麺類をテーマにした企画がとりわけ好評だった点も開発を後押ししたという。そうした経緯から、セブン&アイは有名店である「らぁ麺 飯田商店」と「中華蕎麦 とみ田」に冷凍食品開発の監修を依頼した。

「らぁ麺 飯田商店」の飯田将太氏と「中華蕎麦 とみ田」の富田治氏

 商品開発にあたっては「別皿に移して食べたときに、冷凍食品だとわからないレベルの味を追求した」と園田氏は説明する。限られた予算のなかで、具材を入れることを諦めて麺とスープを徹底的に追求した。その姿勢は味の妥協を許さない監修二人の意向と一致し、より本店の味に近づけることに成功したという。

店の味に限りなく近づけるための工夫とは

 では、新たに発売する「金の醤油らぁ麺」と「金の濃厚つけ麺」の商品開発の工夫を見ていこう。

「金の醤油らぁ麺」(税込494円)

 「らぁ麺 飯田商店」の飯田将太氏が監修する「金の醤油らぁ麺」の袋内は、「スープ」と「かえし(醤油ダレ・鶏油)」が別々に入っている。スープに約200ccの水を入れて加熱し、沸騰したら冷凍麺を入れる。約2分経ったらあらかじめかえしを入れた器に混ぜて完成だ。

 開発のポイントについて、飯田氏は「スープとかえしをあえて別々にした点がミソだ」と語る。かえしをスープと一緒に加熱すると、かえしに入っている醤油ダレの香りが変化するため、別々にしたのだという。飯田氏は「香りはおいしさを感じるうえで最初に感じる大事な要素」と説く。

 何度も試作したという麺は、食べ進めていくうちに小麦が溶けだして甘さが出てくるという。「味の変化を楽しんでもらいたい」と飯田氏は話す。

「金の濃厚つけ麺」(税込516円)

  「中華蕎麦 とみ田」の富田治氏が監修する「金の濃厚つけ麺」は、本店の並盛と同じ400gもの冷凍麺を入れている点が特徴だ。麺を電子レンジで加熱したら、麺が入っている袋をそのままざるとして使用し、水で流す。この工程によって、麺のゆでたて感や本店の食感を再現したという。

 スープは豚骨のほか豚肉を出汁に取った、希釈なしのストレートス―プだ。そのうまみを飛ばさずに閉じ込めるために、温める際は電子レンジによる加熱ではなく湯煎とした。富田氏は「麺によく絡むリッチなスープになった」と魅力を語る。 

 最後にセブン‐イレブンの園田氏は、「『金のパスタ』と同じように『金の醤油らぁ麺』と『金の濃厚つけ麺』も、単なる間に合わせの時短料理商品としてではなく、この味を求めて積極的に購入する商品として広く浸透してほしい」と話す。