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2022年春・夏のヒット商品、各カテゴリーの1位は?健康訴求や節約志向の商品が上位に

newitem2022春夏

長引くコロナ禍に加え、円安による物価上昇やエネルギー価格の高騰もあり消費者の生活防衛意識がいっそう高まっている。2022年春・夏の新商品は、この市場環境や消費マインドの変化に対応する動きがみられた。主要カテゴリーのランキング1位商品を見ながらヒットの要因を探ってみたい。

味へのこだわりに簡便性の高さをプラス

 2022年1月~6月に新商品・リニューアル商品として発売された商品を期間金額PIでランキング化したところ(販売店率20%以上の商品が対象)、主要カテゴリーのランキング1位商品は【図表】のようになった。

 新型コロナウイルスの感染拡大から2年以上が経過し、ワクチン接種も進んだことで、外出の機会は増えたものの、物価上昇のあおりもあり、内食の需要は引き続き高く、日持ちのする加工食品は安定的に伸びている。

 商品選択の際に重視されているのが、外食品質の味わいや簡便・時短といった項目だ。創味食品の「創味ハコネーゼ」は名前の通り外箱を使用せず、そのコストを中身にかけることで、専門店と比較しても遜色のない味わいに仕上げた外箱なしレンジ対応パスタソース。なかでも今春発売した「ゴーダチーズと香味野菜の濃厚ボロネーゼ」は、幅広い年代に好まれる味わいで既存3品を抜き、人気No.1のフレーバーとなっている。

 栄養価が高く料理素材としても使いやすいサバ缶。日本水産の「SuiSuiオープン うまい!鯖匠」は、日本で水揚げしたさばをこだわりの調味料で味付けした缶詰シリーズ。従来のアルミふたと比較して約1/3の力で開けられ、特殊な加工により開け口で指を傷つけない「SuiSuiオープン」を採用し、缶の開けにくさに悩むシニア層にも好評だ。

 ピックルスコーポレーションでは、人気の「ご飯がススム」シリーズの「ご飯がススム辛口キムチ」をリニューアル。魚介の濃厚さはそのままに、辛さとにんにく感をパワーアップさせ、白飯はもちろん、おつまみにも合う味わいに仕上げた。また、包装パッケージに使用するインキをバイオマスインキに切り替えたことで、環境にも配慮している。

出典:KSP-POS(食品SM)に基づき弊社にて集計。2022年1月から6月までに発売された新・リニューアル商品の期間金額PIをランキングで抽出。期間は2022年1月から8月までの8カ月間。販売店率20%以上が対象

健康ニーズに応える機能性表示食品が増加

コロナ禍以降、普段の食生活の中で健康を意識する人が増えており、健康を切り口とした商品群も売場に増えている。

 コロナ禍以降、普段の食生活の中で健康を意識する人が増えており、健康を切り口とした商品群も売場に増えている。

 健康訴求のカテゴリーとして最もポピュラーなのが、ヨーグルト類だろう。「明治プロビオヨーグルトLG21無添加」は、砂糖・甘味料不使用で毎日食べ続けやすいヨーグルト。「明治プロビオヨーグルトLG21」ブランドは、同社の独自乳酸菌である「LG21乳酸菌」が一時的な胃の負担をやわらげるのを助ける効果が認められたことから22年12月より機能性表示食品へ進化し、リニューアル発売される。

 また、ドリンクヨーグルトの定番である「明治ブルガリアのむヨーグルト」は、「子あり世代」「子なし働く世代」「シニア世代」の各ターゲットのニーズに合わせた規格へとリニューアル。なかでも「カルシウムと鉄分」は自身の健康のために余計なものをとらず、栄養素添加を求める「子なし働く世代」から高い支持を集め、売上拡大につながっている。

 マルサンアイの「豆乳グルト」は「お通じを改善する」というヘルスクレームを掲げた機能性表示食品として今春リニューアル。植物性ヨーグルト売上No.1*の同品は、11年連続で売上を拡大しているが、機能性表示食品となったことで店頭でも商品特長をより訴求しやすくなっている。

 サラヤの「ラカントSシロップ」は、ウリ科の植物羅漢果から抽出した高純度羅漢果エキスによるカロリーゼロの甘味料「ラカントS」のシロップタイプ。今期は原料の配合バランスを見直し、羅漢果の風味を生かしたすっきりとした甘さにリニューアルしたことで、新規ユーザー獲得につながった。

 創味食品では、ロングセラー商品「創味のつゆ」から、塩分を30%カットした「創味のつゆ 減塩タイプ」を発売。濃厚一番だしをたっぷりと使用し、だしの風味を際立たせる本醸造醤油と利尻昆布を加えることで減塩タイプでもコクのある味に仕上がっている。

 夏場の熱中症対策として、注目されているのが経口補水液。日本コカ・コーラの「アクエリアス経口補水液」はすっきりとした柑橘フレーバーで、汗をかいた体が求める水分と電解質を手軽にすばやく補給できる商品。家庭内でのストックとしてとくにシニア層からの支持が高くなっている。

*インテージSRI+ 植物性ヨーグルトカテゴリー 2018年11月~2021年10月累計販売金額

在宅時間を充実させる ちょっと特別な味わい

 長引く不況感もあり生活者は安定を求めて、誰もが知る定番やロングセラー商品を選択する傾向がある。今期はロングセラーブランドの新フレーバーやリニューアルといった動きも目立った。

 不二家の「夕張メロンミルキー」は、自宅でも気軽に地域の名産品を楽しんでもらいたいという想いから誕生した期間限定品。認知度・人気ともに高い夕張メロンの果汁を使用することで人気を集めた。

 また、同社の「カントリーマアム じわるバター」は、「カントリーマアム」発売35周年をきっかけに誕生した「チョコまみれ」のヒットを受け、誕生した商品。しっとり食感を追求した生地にバターを13%配合することで、バターの風味とコクを堪能できる。シュールなオリジナルキャラクター「じわーるくん」も人気だ。

 在宅時間の増加により、伸長が続く濃縮飲料。サントリー食品インターナショナルの「ボス カフェベース 贅沢抹茶ラテ」は、牛乳で割るだけでカフェスタイルの本格的な抹茶ラテが楽しめる商品。牛乳売場でのクロスMDにも最適で、店頭導入事例も増えている。

 氷菓のロングセラー商品「サクレレモン」で知られるフタバ食品は、パインの果肉感やジューシーな味わいが楽しめる「サクレパイン」を発売。今夏は天候に恵まれたことに加え新商品の好評も後押しし、ブランド全体も好調に推移する。

 家でお酒を楽しむ時間も増えている。巨林フーズ&リカーは、コストパフォーマンスが高い本格派ビール「グランドモルト」を23年1月に大幅リニューアル。麦芽100%規格の新生「グランドモルト」として、フランスでの生産を開始する。

 キリンビールの「キリン ウイスキー陸」は、リニューアルで国産原酒と海外原酒のブレンドの配合を見直しし、豊かな香りと澄んだ口あたりを実現。明るい世界観のテレビCMも好評で、若年層の取り込みに成功している。