ヴィーガンの増加に加え、環境への配慮から動物性原材料を配合しない、植物由来の原材料を使用したプラントベースフードを選ぶ人が増えている。植物性ミルクに加え、レトルト食品や発酵食品など、商品ラインアップも充実してきている。
女性30代を中心に認知率、喫食率ともに上昇
欧米では健康や環境への配慮から動物性食品の摂取を減らしたいと考えるヴィーガン志向の消費者が増え、植物性ミルクや大豆ミートといった植物由来の食品が市場で定着。この流れを受け日本でもプラントベースフードを手に取る消費者が増えている。

不二製油が実施したプラントベースフードに関するアンケート調査によると、プラントベースフードの認知率は54.6%で、前回の調査から10ポイント以上の上昇。認知者における喫食経験率は72.2%で、前回の調査と比較して20ポイント以上の大幅伸長となっている【図表1】。
次にプラントベースフードを認知し、さらに喫食経験のある人の詳細を見てみると、女性の30代が81.4%と最も高く、女性20代(80.8%)、女性60代(77.6%)と続く【図表2】。
プラントベースフード喫食者が食べたことのあるプラントベースフードの種類を見てみると、「植物性ミートなどの大豆ミート・加工品」が最も高く、「植物性ミルク(豆乳、アーモンドミルクなど)」、「植物性バター」、「植物性クリーム」と続いている。
プラントベースフードのイメージについては「健康によい」が最も高く、次いで「環境にやさしい」となっており、中でも「健康によい」は女性40・60代でとくに高くなっている。
植物性ミルク以外のラインアップも充実
プラントベースフードの認知拡大に伴い、プラントベースフードの商品開発に注力する企業も増えている。
カゴメは植物由来の原材料を使った1食分のレトルトパウチ「プラントベース」シリーズが好調に推移。2024年秋には新商品として、「ごろっとお豆のチリトマトスープ」「ごろっと根菜のスープカレー」を発売した。
雪印メグミルクは2024年からプラントベースフードの新ブランド「Plant Label」を立ち上げ、「えんどう豆のPeaDrink」「ナチュレ 恵 megumi 植物生まれ」「えんどう豆由来のおつまみ」などを展開する。
マルコメは発酵の技術から生まれた国産米由来の植物性ミルク「プラス糀米糀ミルク」を発売。ヤクルト本社はヤクルトプランツファクトリーを新たに設立し、豆乳を乳酸菌とビフィズス菌で発酵させてつくった「はっ酵豆乳食品」を展開する。キユーピーは“サステナブルな食”を展開するブランド「GREENKEWPIE」から、「植物生まれのパスタソース たらこ風」を発売した。
需要の拡大に伴い、アイテム数も増えているプラントベースフード。店頭でも洋日配売場で植物性ミルクや豆乳ヨーグルトを集積したり、プラントベースフードの加工食品を集めてコーナー化するといった動きもみられる。
注目度の高い同カテゴリーだが今後、市場を拡大していくには「知っているけれど食べたことはない」認知未購入者のトライアルが重要となる。店頭でもPOPやボードで商品の特長を紹介するほか、多箇所展開で消費者に気づきを与え、トライアルにつなげていきたいところだ。
プラントベースフードの売場事例
顧客の来店価値を高める売場づくり
スーパーマーケットの店頭でも年々存在感を増しているプラントベースフード。アイテムも充実してきており、各カテゴリーでコーナー化する売場も増えている。
植物性ミルクや植物性ヨーグルトはプラントベースフードの定番であり、洋日配売場でコーナー化を進める企業が多い。「ナルス北城店」では豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクなどを「Plantbasedmilk」のボードを付けて展開。「イオンスタイル横浜高田」では洋日配の冷蔵ケース内で植物性ヨーグルトを集積し、「植物性ミルク」のボードを付けて訴求する。
常温展開できるプラントベースフードも増えてきている。
「ゆめマート五日市」では糖質コントロールや塩分コントロールなどの機能別で分かれた加工食品売場に、植物性食品としてプラントベースフードを集積し、ヘルシーニーズに応える。「ライフ池袋三丁目店」でもカレーやパスタソース、カップ麺、調味料、植物性卵などのプラントベースフードを集積している。「BLΛNDE(ブランデ)三郷店」では日配品のタンパク質訴求コーナーに豆腐バーや大豆ミート加工品など植物性由来の商品を陳列し、タンパク質補給を目的とする客層に対応する。
最後にプラントベースフードは、総菜などの中食の分野でも注目されている。「フードスクエアカスミ八潮大曽根店」ではヘルシー感のあるプラントベースの素材を使った弁当を展開し、ユーザーの拡大をねらっている。
ナルス北城店(新潟県上越市)
豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクといった植物性ミルクを集積
イオンスタイル横浜高田(神奈川県横浜市)
植物性ヨーグルトを集積し「植物性ミルク」のボードを付けて訴求
ゆめマート五日市(広島県広島市)
加工食品売場にプラントベースフードを集積しヘルシーニーズに応える
ライフ池袋三丁目店(東京都豊島区)
レトルト食品やカップ麺、調味料、植物性卵などのプラントベースフードを集積
BLΛNDE(ブランデ)三郷店(埼玉県三郷市)
タンパク質訴求コーナーに豆腐バーや大豆ミート加工品など植物性由来の商品を陳列
フードスクエアカスミ八潮大曽根店(埼玉県八潮市)
総菜コーナーではプラントベースの素材を使った弁当類を品揃え