リクルートの飲食に関する調査・研究機関である『ホットペッパーグルメ外食総研』では、毎月、首都圏・東海圏・関西圏の約1万人を対象に、夕方以降の外食・中食の実施状況についての調査を行っている。2023年度(2023年4月~2024年3月)の概況がまとまったため紹介する。
外食回数の増加に伴い、中食の機会が減少
23年5月に新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行した。2023年度の外食市場規模は対前年度比12.8%増と3年連続で回復し、逆に中食市場は同2.4%減と2年連続で市場規模が縮小した。
3圏域(首都圏・東海圏・関西圏)合計の中食市場規模は1兆4087億円と推計された。その内訳としては、延べ回数(推計15億4227万回)が同4.2%減、単価が同1.9%増の平均913円であった。外食の延べ回数が同7.3%増と増加したことが、中食の実施回数に影響したと考えるのが自然だ。
延べ回数は、さらに1カ月あたりの実施率と実施者の平均頻度に分解されるが、中食の実施率は65.3%(前年度66.9%)、実施頻度は4.97回/月(同5.03回/月)となっており、実施率と頻度ともに2年連続の減少となっている。
購入シェアが最も高いのは50代男性
性別・年代別では、最も中食の購入シェアが高いのは、基準人口が多いこともあって50代男性である。回数ベースで13.8%、単価を掛け合わせた市場規模シェアでは、13.6%となっている。前年度比については、増加率が高かったのは、回数ベースでは50代男性(同0.1%増)、50代女性(同0.0%)と、団塊ジュニア世代が流入して推計人口が増加した50代で、逆に減少率が高かったのは30代女性(同7.4%減)、40代女性(同7.0%減)となっている。
市場規模ベースでも、最も増加率が高かったのは50代男性(同4.1%増)、最も減少率が高かったのが20代女性(同9.9%減)であった。
中食の購入場所
「スーパーマーケット」が2年連続で増加
また、24年5月に追加調査を行った同年4月の中食の購入チャネル別のシェアは次のとおりだ(図表1)。
- 1位「スーパーマーケット」(月間利用率64.2%、対前年同月62.0%)
- 2位「外食店のテイクアウト」(同26.0%、同26.5%)
- 3位「コンビニエンスストア」(同24.0%、同23.7%)
- 4位「百貨店(デパ地下など)」(同16.4%、同19.0%)
- 5位「持ち帰り専門店(弁当など)」(同16.1%、同16.5%)
- 6位「外食店の出前・デリバリー」(同7.2%、同6.7%)
「スーパーマーケット」の利用率は2年連続で増加した。前年度に比べると、「外食店のテイクアウト」「持ち帰り専門店(弁当など)」は微減、「百貨店(デパ地下など)」はやや減少幅が大きくなっている。一方で、前述の「スーパーマーケット」以外に「コンビニエンスストア」「外食店の出前・デリバリー」はやや利用者が増加した。
「外食店のテイクアウト」では、30代女性において、対前年比で5%以上の利用の増加が見られ、「百貨店(デパ地下など)」では、20~30代女性において、対前年比で5%以上の利用の減少となっている。
「弁当」の購入率が3年連続で上昇
中食の購入品目の上位5つは次のとおりだ(図表2)。
- 1位「総菜・おかず・揚げ物類」(月間購入率51.3%、前年同月51.6%)
- 2位「弁当」(同42.0%、同41.0%)
- 3位「寿司・和食」(同35.7%、同36.2%)
- 4位「パン・サンドイッチ・ハンバーガー、おにぎり類」(同28.1%、同27.3%)
- 5位「カレー・丼もの」(同17.7%、同16.8%)
上位5品目の順位は前年と変わらないが、「総菜・おかず・揚げ物類」の利用者は減少に転じた。「弁当」は購入率が3年連続して上昇し、逆に「寿司・和食」は3年連続して下がっている。
なお、中食の購入理由を聞くと、以下の3つが挙げられる。
- 1位「簡単に済ませたい」(59.0%、前年同月58.8%)・
- 2位「料理するのが面倒なときがある」(39.9%、同41.2%)
- 3位「料理をする時間がない」(31.8%、同31.5%)
トップ3の理由には変化はなかったが、1、2位は数値が減少した。また、「人が集まる空間を避けられる」(4.1%、同6.1%)もコロナ禍が明けたことにより減少した。
【調査概要】
インターネット調査、調査期間:2023年4月~2024年3月(毎月)、有効回答数:毎月約1万人(首都圏、関西圏、東海圏の合計)、令和3年人口推計に基づいて性別・年代・地域の250区分でウエィトバックを実施