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チリワイン市場、「安旨ワイン」と「高品質ワイン」の二極化へ

コロナ特需の反動によりワイン市場が停滞しており、同様にチリワインも厳しい状況となっている。チリワインは「安くて旨い」デイリーワインとして安定した人気があるが、品質を求める層が増え、消費の二極化が進んでいる。今後は中価格帯ワインの品揃えが売上アップのカギになりそうだ。

4割のシェアをキープ、チリワインが依然トップ

 量販市場の輸入スティルワイン(非発泡性ワイン)の製造国別販売金額シェア【図表①】において、2022年7月~23年6月のチリは40.67%で前年を0.59%上回った。依然として高いシェアをキープしている。2位のフランスは21.85%で前年の1.81%減、3位のスペインは12.24%で前年の0.63%増、4位のイタリアは9.97%で前年の0.12%増となった。

チリワインは「安くて旨い」デイリーワインとして安定した人気があるが、品質を求める層が増え、消費の二極化が進んでいる(i-stock/Brycia James)

 19年に欧州EPAが発効され、欧州産ワインが値下げされたことで欧州産ワインは微増が続いている。今回もスペイン、イタリアは微増となったが、フランスだけは微減となった。1位のチリは、欧州産ワインに押され、微減が続いていたが、コスパの高さや品種の多さなどから根強い人気で、輸入スティルワインでの存在感は大きいといえそうだ。

 チリワインは「安旨」(安くて旨い)のデイリーワインとして日本でも定着し、500円前後のものが中心となっているが、同価格帯は厳しい状況だ。そのなかで好調なのが、「フロンテラ」ブランド。リーズナブルな価格でありながら、単一品種でつくられているアイテムが多く、品種による味わいが楽しめるのが魅力だ。「フロンテラ スタンダード」では、果実味が豊かであることや品種が多いことなど、ブランド価値をわかりやすく伝えることで、トライアルを獲得している。また、ブドウの収穫や製造方法にこだわったワンランク上のプレミアムシリーズも好調だ。

品質を求める層が増え、1000円以上の価格帯が拡大傾向

 低価格帯ワインを求める層がいる一方で、量より品質を求める層も増え、中価格帯ワインが拡大している。1000円以上のチリワインフルボトルの販売金額シェア【図表②】をみると、21年7月~22年6月のシェアが12.84%なのに対し、22年7月~23年6月には14.03%まで上昇した。

 この中価格帯をリードしているのが「カッシェロ・デル・ディアブロ」。高品質な味わいは世界中でトップレベルの評価を獲得しており、日本でも「盗み飲みされるほど美味しいプレミアムワイン」という興味を喚起する首かけPOPなどで、トライアルが進んでいる。各種クーポン施策やCM、デジタル広告にもチャレンジし、認知・高品質イメージアップを図っている。とくに「ディアブロ」で好調なのが、レッド・ブレンド。さまざまな品種が味わえる赤ワインで、そのおいしさとわかりやすさで世界的にもトレンドとなっている。

 メルシャンではチリワインのプレミアム化を図るために、「ディアブロ」と「フロンテラプレミアム」との併売を提案しており、売上がアップする効果が実証されている。チリワインのプレミアムな魅力を伝えることで、さらなる売上アップにつなげていく考えだ。