楽天グループ(東京都/三木谷浩史会長兼社長)は6月27日、「楽天市場」「楽天ブックス」「楽天トラベル」などの購買データなどから今夏の消費トレンドを分析する「楽天グループ2023 夏トレンド予測」を発表した。「物販編」「旅行・トレジャー編」「エンタメ編」「モバイル編」の4つの分野のうち、本稿では「物販編」の動向についてレポートする。
外出機会の増加と「推し活」の流行
楽天グループは6月9日、消費トレンドの分析にあたり、マイクロタスク型クラウドソーシングサービス「楽天超ミニバイト」上でアンケート調査(総回答数6638)を実施した。「今年の夏の過ごし方」を聞いた設問では、「国内旅行」が全体の20.9%で最多となった。ほかにも「花火、グルメ」が13.0%、「ショッピング」が10.2%と、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したこともあり、外出機運が高まっていることがわかった。
「今年の夏の予定に対する予算」の設問では、約4人に1人が「昨年より予算を増やす(増える)予定」と回答した。「楽天市場」における23年3~5月流通総額では、外出や旅行、イベントなどに関連した商品の需要増加がみられ、対前年同期比を見ると「折りたたみ傘」が約1.7 倍、「スーツケース」が約2.2倍、「浴衣」が約1.8 倍、「水着」が約1.4倍に推移した。今後も、外出時に使用する商品の需要が大きく増える見込みだ。
一方で、「今年の夏の過ごし方」に対する回答では「動画配信サービスを観る」が7.8%、「読書」が6.7%と上位にランクインしており、自宅で過ごす時間を重視する傾向も強いことがわかった。
「楽天市場」における流通総額の推移からも消費動向が窺える。足元では「推し活」の関連商品が好調だ。“推しキャラ”の缶バッジを付けて自らの推しをアピールする「痛バッグ」の23年3~5月の流通総額は対前年同期比で約6.7 倍に伸長した。オンライン書店「楽天ブックス」においても、「推し活」関連書籍の23年1~5月流通総額は同約1.8倍に増加している。楽天グループはこの傾向が今後も継続すると見込む。
生活防衛意識の高まりで「まとめ買い」が増加
昨年末から続く物価高も消費トレンドに影響を与えている。「楽天市場」で増加しているのが、同一の商品が複数でセットになっており低単価で購入できる「まとめ買い」だ。同サイトでキーワードに「まとめ買い」を含む商品の23年3~5月流通総額は前年同期から約1.5 倍に伸びており、とくに炭酸水やレトルトカレーなどが好調だという。
節電意識の高まりにより、冷感グッズの需要も増えている。「楽天市場」上でキーワードに「冷感」を含む商品の23年3~5月流通総額は前年同期の約1.4 倍に伸長した。具体的な商品としては、ベッドに装着する「冷感敷きパッド」や、水に浸して絞るだけでひんやりする「クールタオル」、同様の仕組みで帽子の内側に入れる「ヘッドクール」などがある。ほかにも「風鈴」や、コンセントやUSBに挿すだけで使用できる「ポータブルクーラー」なども好調だ。
楽天グループが分析する今夏の物販の消費トレンドをまとめると、外出に向けた「外向きの消費」と、自宅で過ごすための「内向きの消費」、推しをアピールするための「推し活消費」、節約意識が表れた「物価高対抗消費」の4つだ。市況の変化が表れた調査結果と言えるだろう。