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堅調に推移するシチュー市場、喫食機会増加でさらなる拡大のチャンスを掴めるか?

秋冬の定番メニューのシチューだが、コロナ禍を機に内食需要が高まる中、チーズをたっぷり使ったシチューやポトフ、ビスクなど、定番以外のシチュー商品も増えたことで、消費者の選択の幅が広がってきている。

カレールウに比べて季節性の高いシチュールウだが、コロナ禍においては外食を避け家で食事を摂る機会が増えており、家族みんなで楽しめる煮込み料理の定番として市場を広げるチャンスはまだまだあるはずだ。 i-stock/zepp1969

コロナ禍の巣ごもり需要背景に堅調に推移

 KSP-POSによると、2020年10月から21年9月のシチュールウカテゴリーの期間通算金額PIは前年同期比0.6%増の1510円、数量PIは0.9%減の7.93と、金額・数量ともに前年並みという結果になった【図表】。

 月別の推移をみると新型コロナウイルスの感染拡大の影響による内食需要の高まりにより、21年2月までは前年を上回る数値で推移。とくに21年1月については前年比2ケタ増と好調だった。

 3月以降は緊急事態宣言下における外出自粛により、日持ちのする商品をまとめ買いする生活者が増えた前年の反動により、厳しい状況が半年続いた。

 7月までは前年を割り込んでいた同カテゴリーだが、8月については前年が猛暑だったこともあり、前年比31%増と大きく伸ばした。また、9月は緊急事態宣言中であったことに加えて、各社の新商品投入により店頭露出が増えたことで前年に対し微増で推移している。

 秋冬の煮込み料理の定番でもあるルウシチューは、カレールウに比べると気温の変化や天候等の影響を受けやすいカテゴリーとなっている。月別の数字を見るとシチューの立ち上がりとなる9月から一気に数字が上がり、10月から翌年2月までが山場となっていることがわかる。

 カレールウに比べて季節性の高いシチュールウだが、コロナ禍においては外食を避け家で食事を摂る機会が増えており、家族みんなで楽しめる煮込み料理の定番として市場を広げるチャンスはまだまだあるはずだ。

ホワイト・ビーフに続く定番チーズ系シチュー

 クリームシチューとビーフシチューの2アイテムで長らく市場を支えてきたシチュールウのカテゴリーだが、近年はフォンデュのようにパンや野菜をルウにつけて楽しむことを提案するハウス食品の「北海道フォンデュシチュー」や、スイス産ラクレットチーズに加え、2種のチーズを焙煎して焦がすことでチーズの濃厚な旨みと香ばしさを引き出したエスビー食品の「濃いシチュー<焦がしラクレットチーズ>」のように、チーズの味わいを前面に打ち出したシチュールウも人気を集めている。

 またエスビー食品では期間限定商品として国産紅ずわい蟹と濃厚ベシャメルソースの贅沢なおいしさが楽しめる「濃いシチュー<カニクリーム>」を発売。冬の贅沢食材である蟹を使用した特別感のある限定メニューで新たな客層に訴求する。

 一方、ハウス食品では新ブランドとして、シチューとスープを掛け合わせた“おかずスープの素” 、「S t e w P〔シチュープ〕」を立ち上げた。キャベツや玉ねぎ、鶏肉といった家に常備することの多い野菜や肉類を加えるだけで、食べ応えのある具だくさんのスープがつくれることをコンセプトとしており、海老の旨みとバジルの香り、トマトの旨みがきいたクリーミーな味わいが楽しめる<ビスク風おかずスープの素>と、唐辛子の辛みや八角などの香りがほんのりきいた<参鶏湯風おかずスープの素>の2アイテムをラインアップする。