新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり特需に沸いた食品スーパー(SM)業界だが、内食需要の増大により、総菜部門の業績は軒並み足踏みしている。本稿では、総菜を取り巻く環境を整理し、2021年秋~冬の商品開発の方向性について考えてみたい。
総菜の市場規模が11年ぶりに縮小
まず、コロナ禍による総菜マーケットの変化を整理しておこう。日本惣菜協会が公表している「2021年版惣菜白書」によると、2020年の総菜市場規模は前年からマイナス5010億円の9兆8195億円。09年以来、右肩上がりで成長を続けていた市場が11年ぶりに縮小に転じた(図表❶)。
要因は明確で、以下の4つ。①買物機会の減少により保存性の高いものが求められた、②リモートワークの普及により家族で食事をする機会が増え、料理するほうが経済的と判断する消費者が増加した、③外食業のデリバリー拡大、④生鮮、冷凍食品での総菜商品の拡大、だ。
ただ、実際はデータほどの市場規模縮小は見られていないようだ。というのも、日本惣菜協会のデータには、外食業のデリバリー部門の数値は含まれていない。外食デリバリー市場は前年より約2000億円増えており、総菜市場のマイナス額の約4割はデリバリーに取って代わられたと考えてよい(図表❷)。また、足元では生鮮食品や冷凍食品の総菜化も進んでいる。現在の状況は、総菜の「部門としての踊り場」と言えそうだ。
真剣に考えたい「国産」“全部門参加型”の総菜とは
今回のコロナ禍で、筆者が痛感したことがある。
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