クロスMDはカテゴリーの異なる商品について、相乗効果で販促を図るため広く行われてきた。最近は家庭内調理が増えるトレンドに合わせ、よりキメの細かい提案が行われている。最近の事例を紹介する。
多様なメニューを提案する生鮮、日配と調味料
この1年間は、コロナ禍の影響を受けて、食品への需要は全般的に高い。そのため、売場での目立つ演出に力を入れるよりは、必要な商品を着実に揃えることに注力するチェーンが多かった。
一方、家庭で過ごす時間が増え、家庭で調理した食事を家族で楽しむケースも増えたため、それに沿った食提案が多様化している。簡便ニーズに対応するほか、海外の料理メニューや、時間がかかる本格メニューなどについても、クロスMDを行うことで提案が強化される傾向にある。
そうした事例を、この1年ほどの新店から見ていこう。
「サミットストア鳩ケ谷駅前店」は、「食と健康」をテーマにした健康コミュニティコーナーを実験導入し、栄養指導や健康相談などを行い、地域貢献に努める店舗としてリニューアルオープンした。旬のたけのこコーナーで、あく抜きに使う米ぬかや、煮物にあしらう木の芽などをクロス展開。実際に調理しようとする人向けに配慮した陳列を行う。
リニューアルオープンした「イオンスタイル高知」では、地域の人々のライフスタイル、ニーズに応じた品揃え、サービスを強化。地域需要の強いカツオコーナーに、刺身、たたきを展開。関連調味料を厚くクロス展開する。
また、さまざまな新規取り組みを導入した「体験型スーパーマーケットモデル」の第1号店としてオープンした「マルエツ船橋三山店」も、鮮魚の切り身などと併せて、煮魚やアヒージョなど、メニュー提案に沿った関連商品を展開している。
「ライフグランシップ大船駅前店」は、新コーナーや新商品も積極的に導入。平台で展開する「馬刺し」コーナーでは、食べ方をPOPで紹介するとともに、専用たれを前面に出して訴求する。
「イトーヨーカドー新田店」は、生鮮食品の買い回りに便利な「マルシェゾーン」を展開し、ニーズへの対応を強化。焼肉のセット商品コーナーでは、部位ごとにマッチする生だれをカップ入りで提案し、POPで訴求している。
「イオンフードスタイル茨木太田店」では、自宅での食事ニーズに対応する「鮮度」「ローカル」「健康」にこだわった商品の充実を図る。豆腐売場では地場商品をコーナー化し、専用調味料をクロス展開で提案する。
テーマや食シーンに沿った商品を集約相乗効果で販促を図る
「フレンドマート草津大路店」では、子育て世代に向けて子供の成長と健康を応援するカルシウム・タンパク質等の栄養摂取をサポートする「成長サポート」コーナーをエンドなどで展開。ガムやスープ、即席麺など、テーマに沿った多様な商品を集約することで、提案力強化を図る。
「西友三軒茶屋店」では、ワインのゴンドラに隣接するかたちで、チルドの平台でハム・ソーセージや、チーズなどをコーナー展開。相乗効果の向上を図る。
「ヤオコー蕨錦町店」でも、同社が推奨するワインと相性のよいつまみを揃える「デイリーセレクション」コーナーを展開する。
「原信寺沢店」では、お好み焼き粉コーナーにトッピング商材のほか、ヘラやソース塗り用のハケなどをクロス展開。初めて家庭で試してみようとする層に、利便性の高い陳列を行っている。
※掲載した写真はすべて取材時のものです。現在の売場と異なる場合があります。