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「コロナ時代の免疫効果」で需要伸びる高級ハチミツ・マヌカハニー 浮上した偽物問題に自主規制で対処 

「世界で最も高級なハチミツ」「ハチミツの王様」として知られるマヌカハニーの市場拡大が続いている。コロナ禍で、抗菌作用を持つマヌカハニーへの消費者ニーズが高まっていることに起因している。このマヌカハニーで、表示違反が続出して問題になっており、業界は不適当な商品を規制することで消費者の信頼獲得に動いている。マヌカハニーを巡る新たな動きをレポートする。

マヌカハニーの商品群

マヌカハニーの輸入量は年々増え続けている

 「通常のハチミツよりも高いが健康効果に優れている高級ハチミツ」を求める消費者は増え続けており、高級ハチミツの市場は拡大傾向にある。それに加え、コロナ禍で個人の免疫機能を上げるために、抗菌物質を多く含むマヌカハニーへの注目が高まっている。

 高級マヌカハニーの大半は、ニュージーランドからの輸入品だ。その名が示す通り、マヌカという樹木に咲く花から採れるハチミツで12月ごろ(南半球は夏)に白い花をつけ、山が雪景色になる景観を持つ。ニュージーランドだけに自生するため、採取期間はわずか、約4週間だけ。

 現在、マヌカハニーを扱っている輸入業者は28社。日本へのマヌカハニーの輸出量は約923トン(財務省貿易統計データ、2020年調べ)で、年々増え続け、世界への輸出量(5850トン)の約16%が日本に入っていることになる。

 マヌカハニーの認知度が高まると同時に、通常のハチミツと高級ハチミツの違い、選び方を知りたいというニーズが強まっている。「α―シクロデキストリン(天然の環状オリゴ糖)」の第一人者である寺尾啓二氏(神戸大学院医学研究科客員教授、シクロケムグループの代表)は「マヌカハニーには抗菌成分のMGO(食物メチルグリオキサール)が含まれます。その含有量を示すMGO等級を開発したトーマス・ヘレン教授は『本物と偽物を見極める一つの方法が等級だ』と語っています。そうしたなか、等級をオーバーに表現する偽造品が出回ってることに私は憂慮しています」と科学者の見識から警告を発している。

 例えば、マヌカハニーは、その含有成分にフォーカスする形で、「マヌカハニーMGO100+」から「マヌカハニーMGO550+」といった表示がされる商品が市販されている。抗菌物質が多いものが数字を高く表示し、それに合わせて価格も高くなっている。日本マヌカハニー協会(東京都中央区)の事務局長の佐藤有一氏は「MGOの表示と成分の正確なものを出すのは業者の責任です。消費者に誤解されるような表示は結果的に信用を失ってしまいます。まだ自主規制の段階ですが、実際の商品に含まれるMGOの数字とパッケージに表記される数字が正しいかどうかに目を配っていきたい」と語っている。

 また「最も大切なことはマヌカハニーの愛用者の信頼を得ることで、日本マヌカハニー協会としても、ホームページで各社製品の分析値を公表し、今後も監視の目を緩めない」と語った。

 

抗菌成分MGOに着目して、本物と偽物を見分ける 

ニュージーランドに自生するマヌカの花

 マヌカハニーはニュージーランドで、創傷、歯周病、皮膚疾患、口内疾患、扁桃腺炎などの治療、また、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、胃がんなどの予防や治療に使用されている。またマヌカハニーの保湿効果に着目し、カサカサ肌などの肌体質改善にも一役買っているという。

 「MGOの含有量が多いほど抗菌作用が強くなる分、価格もそれに応じて上がる。自分の体調や目的に合った製品を選択することが、健康面、経済性を考えても賢明な選択となります。もし、疑問(本当に表示と中身のMGO値が一致しているか?)を持った商品があれば、わが協会にご相談してみてください」(日本マヌカハニー協会・事務局長)

 6年前から高級マヌカハニーを取り扱っている株式会社コサナの澤畑佳成氏(営業開発部 ゼネラルマネージャー)は「百貨店や専門店で購入されるケースに加え、最近はネット販売で手に入れる消費者が増えています。わが社の売れ筋でも、主力の4種類(MGO100+、250+、400+、550+)を販売していますが、この時期は特に『マヌカハニーMGO400+』(250グラム、6500円)が人気です。次いで人気なのが、初めてマヌカハニーを購入されるお客さまにエントリー用として支持されている『マヌカハニーMG100+』(250グラム、3100円)です。リピーターが多いのが特徴で、今後さらに認知を高めていきたい」と語った。

 当面、ウィズコロナ、アフターコロナの状況は続きそうな中で、免疫効果のある食品に対する関心度はますます高まっていくものと考えられる。高級マヌカハニー市場の今後の動きから目が離せない。