EC大手の楽天(東京都/三木谷浩史会長兼社長)と、私鉄大手の東急(同/髙橋和夫社長)が9月1日、データマーケティングを行う新会社、楽天東急プランニング(同/笠原和彦社長)を共同設立し、営業を開始した。IT企業と鉄道会社という異色のタッグは、マーケティングの領域でどのような変革を起こそうとしているのか。
東急グループの店舗でデータマーケティングを展開
楽天と東急が今回共同設立した楽天東急プランニングは、主にデータマーケティング業務を担う企業だ。出資比率は楽天が51%、東急が49%で、本部は東京都世田谷区内の楽天本社内に置く。社長には、楽天の常務執行役員兼楽天ペイメント取締役副社長執行役員の笠原和彦氏が就任。東急側からは、同社経営企画室マーケティング・IT推進グループ統括部長の日野健氏が副社長を務める。
共同設立の主なねらいは、1億人以上の会員からなる楽天が持つオンラインのデータと、鉄道事業、小売事業、不動産事業、宿泊事業などを展開する東急のオフラインのデータを融合し活用することにある。具体的には、両社のマーケティングソリューションの強化、東急グループが展開する小売事業におけるマーチャンダイジングへの活用、ウェブやサイネージにおける広告パフォーマンスの最大化、さらにはOMO(オンラインとオフラインの融合)による新たな買物体験や購買行動の創出などを図る計画だ。
笠原社長は、「楽天はマーケットプレイス型のEC企業であり、実際にモノを売る企業ではない。一方で東急さんは食品スーパー(SM)や百貨店などリアルの販売チャネルを有している。ECとリアルの強みを融合させることで、プロモーションの領域を中心に新しいビジネスの創造ができるのではないかと考えた」と経緯を説明する。
会社設立とともに、今後の計画として発表された取り組み領域は、①データマーケティング事業、②広告事業、③OMO事業の大きく3つだ。
まず①データマーケティング事業については、第1弾の取り組みとして、東急グループの食品スーパー(SM)東急ストア(東京都/須田清社長)や、百貨店の東急百貨店(同/大石次則社長)などにおいて、全店で「楽天ポイントカード」「楽天Pay」を順次導入。楽天会員のリアル店舗における購買データを半年程度かけて蓄積した後、各店舗の販促イベントや品揃え、価格設定、新規出店などの検討に生かす計画だ。それと並行して、店頭では楽天ポイントカードの顧客拡大にも力を入れることで、東急側はより顧客のニーズに合った店づくり、楽天側はリアル店舗での購買データと新規顧客の獲得をねらう。
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