コロナ禍の内食機会の増加に伴い好調に推移していた漬物・キムチは、2023年に入りその動きが落ち着いてきている。長年中高年層に支えられてきた同カテゴリーだが、ユーザーを拡大するには料理に混ぜる、麺類のトッピングで使用するといったメニュー提案で若年層に訴求することも重要となる。
キムチは金額・数量ともに堅調に推移
KSP-POSデータによると、2023年1月から12月の漬物カテゴリー全体の期間通算金額PIは対前年同期比0.4%増の2万1022円、数量PIは同2.9%減の99.8となった【図表】。
月別で見ると2・3月は微減となったものの、その後は微増で推移。11月に入るとまた微減に転じている。
サブカテゴリーごとの金額PIを見ると、「浅漬け」「酢漬け・らっきょう漬け」「しょうゆ漬け」は前年割れとなったものの、「たくわん」「梅干し」「その他漬物」は前年並みから微増で推移。ただし数量PIについては前年超えのカテゴリーでも微減となっているものが多く、原材料の高騰等による値上げの影響が窺える。
一方、「キムチ」カテゴリーの期間通算金額PIは同2.5%増の6113円、数量PIは同0.3%増の26.7となった。こちらは2月、11月、12月を除いて前年超えとなっており、漬物全体の中では比較的好調であることがわかる。
食品需給研究センターの「食品製造業の生産動向調査」によると、22年の漬物の生産量は対前年比0.5%増の82万721トンと5年連続の伸長となった。サブカテゴリー別で見ると、「しょうが漬け」(同 23.7%増)や「たくあん漬け」(同11.2%増)「その他の漬物」(同19.0%増)は2ケタの大幅伸長となっている。
メニュー提案や季節感の演出で鮮度感のある売場づくりへ
少子高齢化による世帯人数の減少や食の欧米化などに伴い、若年層を中心に漬物離れが進んでいる。しかしコロナ禍中は内食需要の増加に伴い漬物を手に取る人が増加。コロナ後も小麦を含めた昨今の食料品価格の高騰を受け、価格が安定している米を主食に選ぶ家庭が増えており、ご飯に合う一品として漬物の価値が見直されつつある。
現在、中高年層のユーザーが多くを占める漬物類だが、今後、カテゴリー全体を再活性化させるためには、おにぎりやチャーハンの具材など料理素材としても訴求し、喫食機会を増やすことが必要だろう。
たとえばマルハチの「山形のだし」は冷ややっこやうどんのトッピングとしても人気があり、豆腐や麺類など漬物以外の売場で展開している店舗も多い。とくに食べきりサイズの個食パックは少人数世帯でも手に取りやすく、あっさりした味付けでご飯と一緒に野菜がしっかり食べられると幅広い年代に支持されている。
また料理素材としての汎用性が高いキムチ関連はメーカー各社が増量キャンペーンを仕掛けており、露出を増やすことでトライアルの促進にもつながるだろう。
漬物は他のカテゴリーに比べてロングセラーが多いこともあって商品の入れ替えも少ないが、野菜の旬に合わせた期間限定品や季節パッケージ品も販売されている。ご飯のおかずとしての定番商品のラインアップに加え、季節商品の紹介やアレンジレシピなど、多彩な切り口で提案を行うことでカテゴリーの活性化につなげたい。