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チリワイン市場、単価は上昇傾向プレミアム化が進む

「安くておいしい」デイリーワインとして定着しているチリワインは、品質を求める層が増えたことで単価上昇傾向にあり、消費の二極化が進んでいる。市場活性化のために、中価格帯ワインの品揃えを強化することがワイン市場活性化のポイントとなりそうだ。

欧州産ワインが健闘するも、チリワインが高いシェアをキープ

2023年2月~24年1月のチリは40.0%で前年を0.7ポイント(pt)下回ったが、依然として高いシェアをキープしている(写真はイメージ、i-stock/Brycia James )

 量販市場の輸入スティルワイン(非発泡性ワイン)の製造国別販売金額シェア(図1)において、2023年2月~24年1月のチリは40.0%で前年を0.7ポイント(pt)下回ったが、依然として高いシェアをキープしている。2位のフランスは21.5%で前年の0.8pt減、3位のスペインは13.4%で前年の1.4pt増、4位のイタリアは10.3%で前年の0.4pt増となった。欧州産ワインの中では、スペイン、イタリアが微増で、フランスだけが前年割れとなった。

 1位のチリは、欧州産ワインに押され、微減が続いているが、輸入スティルワイン市場では圧倒的な存在感となっている。高いコスパを誇り、低価格帯ワインの定番として根づいており、品種の多さも魅力のひとつ。一般的な品種のほか、チリを代表する品種カルメネールなど、豊富な日照由来の果実味たっぷりなワインが生み出されている。

 安くておいしいデイリーワインとして定着しているチリワインだが、量より質を求める層が増え、消費の二極化が進んでいる。値上げによる影響だけでなく、チリワインの単価は上昇傾向だ。1000円以上のチリワインフルボトルの販売金額シェア(図2)をみると、23年2月~24年1月のシェアが15.4%で、前年から2.1pt上昇した。この中価格帯をリードしているのが「カッシェロ・デル・ディアブロ」。高品質な味わいは世界中でトップレベルの評価を獲得している。新規ユーザーを継続して獲得している。

 ぶどうの収穫・醸造方法にこだわった「フロンテラ プレミアム」も好調だ。昨年3月に発売したレッド・ブレンドが好調なのに加え、店頭でのコミュニケーション施策が購買を促進した。この春には高品質なピノ・ノワールをラインアップ。店頭での視認性を高めるため、情報豊富な首かけPOPで訴求する。

甘口で飲みやすい本格ワインで、若年層ユーザーを誘引

 ワイン市場を拡大するためには、間口拡大が重要となる。メルシャンではこれまでもエントリーユーザーを獲得する商品を投入してきた。そのひとつが「フロンテラ スパークリング缶」。缶という手軽で気楽に楽しめる容器である一方、本格的な味わいが支持されている。

 この春は、ワインを飲みなれていない若年層をターゲットに「デビルズ・カルナバル」を新発売。ワインの渋みや酸を抑えて甘みを感じる本格ワインで、高い視認性で記憶に残るパッケージに仕上げた。若年層を含む新たなユーザーを本格ワインカテゴリーに誘引するチャレンジで、ワインでは珍しくタレントを起用した販促を展開する。SNS広告やイベントなどで若年層にアピールし、間口拡大を図っていく。