静岡県、東京都、神奈川県で総菜専門店「知久屋」を展開する知久(静岡県/知久利克社長)。商品は、いずれも仕入れから加工、調理、配送、販売までを一貫して自社で手がけており、保存料、添加物などを使わず、おいしさと安全安心を追求している。さらに自社農園を運営し素材の生産までも手がけるなど、総菜のSPA(製造小売)化を志向する注目の企業だ。
自社でつくった安全安心な商品を販売
知久は1957年7月、乾物や加工食品などを扱う食料品店として静岡県浜松市で創業した。77年10月、最初の総菜店を出店。以降は徐々に店舗数を増やす一方、自社工場を建設して商品の製造能力強化に乗り出した。
現在では化学調味料、合成着色料、合成保存料などを使わず、仕入れから加工、調理、配送、販売までを一貫して行っている。きっかけとなった出来事は、99年10月、本社工場を新築移転したことだ。肉や野菜といった素材の加工も自前化できたことで、品質にこだわった安全安心な商品を販売する方針にシフトしていった。同社の専務である知久道宏氏は、「そもそも添加物や保存料などを入れるとおいしさを損なってしまう。そのため、当社ではできるだけ“ナチュラル”な商品を販売する方針をとっている」と話す。
そうした方針を体現する商品の1つが、はんぺんを揚げた「揚げはんぺん」(180円:以下、税抜き)だ。すり身には一般的に、保水性を高め鮮度感を出すことを目的に「リン酸塩」が使用される。しかし知久では製造業者から添加物が含まれないすり身を特注して仕入れているのだという。
郊外を中心として都市部にも出店
2024年2月上旬時点で「知久屋」は、本部を置く静岡県を中心に東京都、神奈川県で、合計53店舗を展開、年間2~3店舗のペースで新規出店も行う。
23年3月期の売上高は
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