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ウイスキー市場、ハイボール人気から好調に推移、プレミアム化で単価アップにも期待

コロナ禍で広まった家飲み需要を背景に好調に推移するウイスキーのカテゴリー。ユーザーの拡大により、定番の国産ウイスキーだけでなく、ワンランク上の輸入ウイスキーも店頭に並ぶようになり、選ぶ楽しみが広がっている。

居酒屋から家飲みへ輸入ウイスキーも需要拡大

 KSP-POSによると、2022年12月から23年11月のウイスキーカテゴリーの期間通算金額P Iは対前年同期比4.7%増の6228円、数量PIは同0.6%減の3.87という結果になった【図表】。

 ウイスキーは例年、お歳暮や年始のあいさつなど、ギフト需要の高まる12月と、父の日のギフト需要が高まる6月が山場となりやすい。しかしながら、コロナ禍以降広まった家飲み需要の影響もあり、そのほかの月についてもそれほど落ち込むことなく推移している。また月別金額PIの前年比を見ても、23年2月と9月以外は前年超えとなっており、同カテゴリーの好調さが見て取れる。

 コロナ禍中、自宅で過ごす時間が増えたことで広がった家飲み需要は、昨今の物価上昇による生活防衛意識も影響し、新型コロナウイルスが5類に移行した現在も継続している。

RTDのハイボール缶が新規ユーザーの取り込みに貢献しており、ハイボール缶をきっかけにおいしさを知り、ボトルを購入して自宅でハイボールを楽しむユーザーも増えている(画像はイメージ:Three people make a toast with whiskey)

 ウイスキーは外飲みでのハイボール体験により、「家でもおいしいハイボールをつくって楽しみたい」という流れで成長してきたカテゴリーだ。またRTDのハイボール缶が新規ユーザーの取り込みに貢献しており、ハイボール缶をきっかけにおいしさを知り、ボトルを購入して自宅でハイボールを楽しむユーザーも増えている。

 これまでは「角瓶」や「トリス」、「ブラックニッカ」といった国産ブランドが売上の多くを占めていたが、近年はユーザーの拡大に伴い、スコッチやアイリッシュ、アメリカンといった輸入ウイスキーも好調に推移している。

 ペルノ・リカールでは“はじまりのシングルモルト”「ザ・グレンリベット」の創設200周年に合わせ、「ザ・グレンリベット 12年200周年記念 限定ボトル」を発売。ワンランク上の味わいを求める新たな客層にアプローチしている。

産地の違いを紹介し、選びやすい売場づくりへ

 甘みがなくどんな食事とも合わせやすいハイボールの人気によって需要が拡大したウイスキー。とくにコロナ禍中は外出自粛に伴い家飲みの機会が増えたことで、中・大容量品や定番以外の輸入ウイスキーの需要も拡大。さらに酒税改正の影響から、新ジャンルからほかの酒類へ移行する動きも見られており、自分好みの濃さでハイボールを楽しむため、年代を問わずウイスキーのボトルを手に取る人が増えてきている。

 今後、市場を拡大していくためにはハイボール缶やそれと連動した定番の国産ウイスキーによる奥行きの拡大とともに、スコッチやアイリッシュ、アメリカンといった輸入ウイスキーの世界観を伝えることで、ユーザーに選ぶ楽しみを提供していくことが求められる。とくに輸入ウイスキーについては付加価値型のブランドも多く、ハイボールで流入してきた若年層に向け訴求することでカテゴリー全体の単価アップも期待できるだろう。

 定番ブランドと炭酸水やRTDのハイボール缶とのクロスMDに加え、輸入ウイスキーによる産地や製法の違いといった琥珀色の世界観を紹介することでウイスキーの魅力を与え、カテゴリー全体を盛り上げていきたいところだ。