メニュー

輸入ドライフルーツ&ナッツ市場、健康意識の高まりにより需要拡大、コーナー展開で接点を増やす

消費者の健康意識が高まるなか、ドライフルーツやナッツは栄養素を豊富に含む健康食材として注目されている。これまでは菓子売場の定番棚で展開されることが多かったが、近年は青果売場内でもコーナー化されるなど存在感が増している。

健康食材としてコロナ禍以降需要が拡大

 KSP-POSデータによると、2022年11月から23年10月のドライフルーツカテゴリーの期間通算金額PIは対前年同期比0.9%増の1018円、数量PIは同5.2%減の3.3となった。月別の金額PIの動向を見ると、23年2・3月および、夏場の8・9月に前年を割り込んでいるものの、それ以外の月は堅調に推移(図表1)。とくに5月は対前年同月比で7.5%増と非常に好調だった。

 ドライフルーツにはレーズンやプルーンをはじめ、いちじくや柑橘類、ベリー類などさまざまな種類があるが、アーモンドやクルミなどのナッツ同様、その多くは海外からの輸入品となっている。

コロナ禍により消費者の健康意識が高まったことも影響し、幅広い年代がドライフルーツを手に取るようになった(i-stock/SMarina)

 図表2の主要なドライフルーツの20年から22年の輸入数量推移を見ると、コロナ禍に入った20年以降、多くのカテゴリーが数字を伸ばしており、21年は過去最高を記録した。22年はその動きが落ち着いたものの、いずれも高い水準を保っている。

 ドライフルーツではパンや菓子などにも用いられるレーズンが圧倒的な市場規模となっているが、即食メーンのドライフルーツではプルーンが最も高くなっている。

 プルーンは皮膚や粘膜を健康に保つビタミンA、骨の形成に関与するビタミンK、代謝を促すビタミンB群、細胞を守るビタミンEのほか、高血圧リスクを低減するカリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄などの各種ミネラル、食物繊維など、多種多様な栄養素が豊富に含まれ、低GI食品で血糖値が上がりにくい点も魅力だ。

 カリフォルニア プルーン協会では『「プ活」始めよう。』をキーワードに、店頭やSNSでプルーンのおいしい食べ方や健康価値を訴求していく。

多箇所展開でタッチポイントを増やす

 以前は菓子・パンづくりの材料や酒のおつまみとして食されることが多かったドライフルーツ・ナッツだが、近年はビタミンやミネラル、食物繊維などを含む栄養豊富な健康食材として、TVの情報番組などでも取り上げられる機会が増えた。またコロナ禍により消費者の健康意識が高まったことも影響し、幅広い年代がドライフルーツを手に取るようになった。

 これまでは菓子売場の定番棚で展開されることが多かったナッツやドライフルーツだが、需要が拡大したことで青果売場のフルーツの隣に陳列したり、量り売りを行ったりする店舗も増えている。

 ドライフルーツ・ナッツは現代人に不足しがちな栄養素がつまった健康食材として、注目度の高いカテゴリーだが、食べ方や利用シーンがわからず手に取ることを躊躇している人も多い。

 トライアルを獲得するためにはPOPやボードを活用して豊富な栄養素を紹介したり、身近な食材とのクロスMDで食べ方提案を行ったりするなど、気付きを与える施策が必要だろう。菓子売場の定番棚のほかにも青果売場での展開や朝食提案、ロカボ提案など、多箇所展開することでタッチポイントを増やし、ドライフルーツ・ナッツの需要拡大につなげていきたい。