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まだまだ続くレトロブーム! 2023年もメーカー各社から復刻商品が続々!

2021年頃より、Z世代を中心に「昭和レトロ」という言葉と共に、ノスタルジックな順喫茶で飲むクリームソーダや、昭和の商店街を再現したエリアを新設した「西武ゆうえんち」などが人気を集めている。こうしたレトロブームは昭和だけに限らずルーズソックスなどで社会現象となった「平成ギャル」や、小型ポラロイドの「チェキ」、インスタントカメラの「写ルンです」など30代以上の世代にとっては「あの頃の懐かしさ」が詰まった商品や対象が新しい解釈や感覚で再注目されている。
そうした中食品を中心としたメーカー各社も、懐かしの商品、パッケージ、ロゴやキャラクターなどを使ったナショナルブランドの復刻商品を発売している。本稿では、昨今の復刻ブームを背景に新発売されている各種商品と企業動向について概観する。

gyro/iStock

食べ方やパッケージの復刻で、レトロで新しい楽しみ方を提供

 江崎グリコは、1970年代に親しまれたポッキーの楽しみ方である「ポッキー・オン・ザ・ロック」を令和風にアレンジ。氷を入れたグラスにポッキーを入れたり、マドラー代わりにし、楽しんでいた食べ方を「お好みのポッキーをお好みのソフトドリンクに入れ、アイスやフルーツなどをトッピングする」という見た目も映える楽しみ方を提案している。公式HPおよびパッケージ裏面にレシピを公開している。

 ロッテでは、2022年に復刻発売した「クイッククエンチ-Cガム」「コーヒーガム」に続き、2023年4月より「スペアミントガム」(1954年~1997年頃まで販売)と「マンゴスチンガム」(1995年~2000年頃まで販売)を復刻。「アセロラガム」「梅ガム」「ブルーベリーがム」「スウィーティーガム」などをセットした「復刻ガムセット」も販売している。これらは板ガム1枚1枚の包装を復刻当時のものから進化させ、正方形に切り取ることで「おりがみ」として遊べるようになっている。同商品をコンビニエンスストアで販売しており、懐かしの味を再販売することで売上の拡大を図りたいというねらいが透ける。

 明治では「期間限定 復刻デザイン」パッケージとして、2022年4月より「明治ミルクチョコレート」や「アポロ」など現在も人気のロングセラー商品のパッケージをレトロ可愛いく、懐かしい復刻版デザインにし、期間限定で発売。そのほかにも「きのこの山」「たけのこの里」「プッカ」「フラン」など90年代に発売され人気を博した同社の代表的なお菓子を次々と初代パッケージで復刻している。

周年記念を契機に人気の味を復刻

 即席麺の「マルちゃん」シリーズで知られる東洋水産は、2023年3月25日に創立70周年を迎えるにあたり、昭和・平成・令和の各時代で人気を博した「カレー焼そば」「えび塩味焼そば」「ごま油香るオイスターソース味」の3種のフレーバーを期間限定商品として復刻した。限定品のフレーバー復刻によって、話題性はもちろん、品揃えの強化や更なる市場の活性化を狙っている。

 麺類では、商品発売から2023年4月8日で60年を迎える即席めんの「チャンポンめん」が発売当時のパッケージデザインを復刻し、数量限定での販売を開始した。「チャンポンめんの還暦を祝おう」というコンセプトのもと昔懐かしの黄色いパッケージで、ふるさとの味をリバイバルしている。

 また、メーカー以外にも宅配ピザ大手の日本ピザハットが、日本上陸50周年を記念して90年代に人気を博したピザを2023年6月19日より復刻販売している。「ピザハット日本上陸50周年記念 復刻!90’s(ナインティーズ)」と称し、「復刻シシリア風ピザ」「復刻アイダホスペシャル」「復刻バーベキューチキン」「復刻ダディーニ」、そして期間限定で4つの復刻ピザが1つになった「復刻レジェンド4」の5つの復刻商品を販売している。同社は復刻商品を通じてお客様へのこれまでの感謝を表すとともに、家族間・世代間のコミュニケーションのきっかけを一つでも多く提供できれば、というコンセプトを発表している。

お客からのリクエストから復刻

 日清食品は、2023年4月10日より「カップヌードル シンガポール風ラクサ」を復刻販売した。「世界のカップヌードル」シリーズの本商品は2015年に発売され、エスニック料理好きなお客様から人気であった。販売終了後も、もう一度食べたいとの声が数多く寄せられ、「復活リクエストNo.1」商品であったため、3年ぶりの復活を果たした。

 「マクドナルド」でも2023年5月31日より、平成時代に好評を集め、現在も復活の声が多い「たまごダブル」(1998年発売)、「焙煎ごま えびフィレオ」(2006年発売)、「ジューシーチキン ブラックペッパー」(2009年発売)の3商品を期間限定で販売した。プロモーションでは、「平成ファッション」を着こなしたモデルを登場させ、当時の流行語も採用。CM音楽には平成を代表するヒット曲である浜崎あゆみさんの「Boys & Girls」を起用するなど、平成という時代の世界観を再現した。

 このように、メーカー・外食各社は「復刻」「レトロ」ブームを商品やその世界観を刷新しながら見せていく事でZ世代にとっては手触り感のある新しい面白さを、Z世代以上にとっては、あの頃を思い出させてくれる懐かしさ、という観点から消費の拡大や販売強化を行っている。今後もあらゆる顧客層にそれぞれの楽しさや発見を提供する「復刻商品」やそのプロモーションが期待される。