コロナ関連の規制や制限が撤廃され、今年の夏は行楽、旅行、帰省需要の拡大がほぼ確実視されている。そうしたなかで食品スーパー(SM)の総菜部門はどのような取り組み・方向性によって需要を取り込み、売上を最大化できるだろうか。“コロナ後の総菜のあり方”も見据えながら、今夏の戦い方を考えていきたい。
あらためて確認したい「総菜の重要性」
まずは、総菜市場の直近の動向について確認しておこう。全国スーパーマーケット協会が発表した「スーパーマーケット景気動向調査 2023年4月調査結果(3月実績)」によると、景気判断DI(ディフュージョン・インデックス)は、現状判断、見通し判断とも、前月から+4~5ポイントの大幅改善となった。カテゴリー別では総菜DIが13.6%と、全体で見ても最も高かった。総菜部門を取り巻く足元の状況は良好といえるだろう。
とはいえ、食品の値上げの波は相変わらずで、23年の値上げ品目が3万品目を超えるとの予測もある。総菜部門においても原材料高騰に伴う商品の改廃を続けざるを得ず、先行きは楽観視できない。
さて、筆者は本誌でさまざまな好調店を訪ね、その都度総菜部門の取り組みについても学ぶ機会をもらっている。そうしたなかで確信しているのが、好調店は「明確なビジョン」を持っているということだ。
たとえば、一食完結型の弁当の売上高構成比が増え、それに比例して商品単価もアップしている、というのが多くの企業の総菜部門で近年見られる傾向だ。しかし、ダイヤモンド・チェーンストア誌23年4月1日号の本連載で取り上げた「原信古正寺店」(新潟県長岡市)では弁当のアイテム数は抑え気味で、おかず総菜の圧倒的な品揃えを商品政策(MD)の軸とし、「毎日訪れても飽きない総菜売場」を実現していた。また、同5月15日号の特集内で解説した「マミープラス西平井店」(千葉県流山市)では、他社にマネのできない商品レベルの高さと圧倒的な安さを両立しお客を引き寄せていた。
いずれにしても、SMの総菜は、「SPA(製造小売)化」が進み、商品の独自性、品揃えの幅、品質、価格などが多様化している。その巧拙はお客からの評価に直結しており、また、店全体からみても大きな期待が寄せられる部門なのである。
行楽・帰省需要急拡大!「土用丑」への依存は危険
続いて、昨年夏の状況を振り返りつつ、今夏の総菜販促の方向性について細かく考察していきたい。
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