平日の昼食シーンに注力すべき
エヌピーディー・ジャパンが提供する外食・中食市場情報サービス『CREST®』は、1年365日継続して行っている調査で、業態や食シーン、利用層ごとの市場規模、食機会数、客単価動向を分析することができます。この『CREST®』から、中食市場の利用実態をシリーズで紹介していきます。
この連載第1回では、中食の市場規模は4年連続で拡大しているものの、客数にあたる食機会数は、ここ3年伸び悩んでいるということを紹介しました。1人当たりの利用回数・ニーズは増加していますが、人口減少が主な理由です。第2回では、中食利用の業態別コア層を分析し、以下のような特徴があることを説明しました。
〇コンビニ→コア客層:男性15-59才、会社員。
〇弁当・総菜専門店→コア客層:男性40-59才、会社員、既婚者。
〇スーパー→コア客層:男女40-59才。
今回は、上記のコア層がどんな食シーンで利用しているのか、実態をご紹介します。
『CREST®』では、様々な食シーンの分析が可能です。食機会別(朝食、昼食など)時間帯、曜日、平日/休日、喫食グループ(誰と一緒に食べたか)、何人で食べたか、喫食場所(家で、職場でなど)、喫食にかかった時間、その食事が特別な機会だったか(誕生日や行事など)が代表的な項目です。今回は、この中から、我々がもっとも使う頻度が高く、有益な情報となる2つの項目①平日/休日×食機会、②喫食グループを使います。
図表3-1は、業態別の休日/平日×食機会比率を表したものです。第2回で明らかにした各業態のコア層における比率と業態全体の比率を比較しています。
まず、コンビニから見ていきましょう。コンビニの利用は、平日2:休日1の比率で、平日が多くなっています。(1日あたりでは平日数が多いので休日の方が多くなります。)平日でも最も多いのが、昼食で全体の29%を占めています。コンビニのコア利用層である、男性40-59才会社員においては、さらにこの平日昼食の比率が高くなり32%を占めます。平日の朝食もコンビニ計と比べると3ポイント高くなります。
次に弁当・惣菜専門店では、同様に平日の昼食が最も多くなりますが、注目すべきは、その比率です。平日昼食が業態計で40%、コア層の男性40-59才会社員既婚では58%と、コンビニに比べ平日ランチにかなり集中していることが分かります。間食需要がほとんど見込めないことから、昼食と夕食に集中する傾向となります。ただし、言い換えると、間食と朝食にも利用してもらうチャンスを作ることも今後のビジネスチャンスとなる可能性があるということです。
スーパーでは、コンビニ、弁当・総菜専門店と比べると分散しており、平日と休日の差もそこまで大きくありません。しかしスーパーにおいても、平日ランチが最も多いシーンであり、特にコア層の男女40-59才ではスーパー計と比べ3ポイント高い19%を占めます。中食主要3業態すべてにおいて、平日昼食こそもっとも重要で注力すべきシーンであることが分かりました。
誰と食べているか把握し、プロモーションを考える
次に、さらに深堀して、コア層が平日昼食に、誰と喫食しているのか見てみます。
図表3-2を見ると、どの業態でも「一人で」食べる比率がもっとも多いことがわかります。コア層の平日昼食に絞り込むと、さらに1人での比率が高くなり、コンビニでは78%、弁当・総菜専門店では53%、スーパーでは71%を占めます。次に多いのは、「同僚と」で、コンビニでは21%、弁当・総菜専門店では41%、スーパーでは15%を占めます。
興味深いのは、業態間の比率の差です。コンビニやスーパーでは7割以上を「一人で」が占めるのに対し、弁当・総菜専門店では53%に過ぎません。言い換えると、弁当・惣菜店で平日昼食を買う人は、同僚と食べることが多いのです。弁当類を2個以上同時に買うとお得になるプロモーションをすると、弁当・惣菜店ではさらにこの強みである客層を増やすことができそうです。コンビニ・スーパーも同様のプロモーションで、新規顧客開拓になる可能性があります。
今回は、ターゲット層の食シーンを分析することで、注力する時間帯・商品や、新たな顧客開拓や既存客層強化につながる例をご紹介しました。次回4回目では、消費者心理・ニーズの分析を紹介します。
プロフィール
エヌピーディー・ジャパン株式会社
NPDはアメリカをはじめ世界23ヶ国で消費者パネル調査および小売店パネル調査を展開する調査・市場規模測定のリーディング企業。エヌピーディー・ジャパンは外食・中食(業務用食品)市場、 スポーツシューズ・アパレル市場に関する最新動向やインサイトを提供している。
CREST®
外食・中食市場において 「いつ、誰が、どこで、何を、どのように食べ、どの程度満足したか」など消費者のあらゆる喫食動態データを1年365日、直接消費者から収集し、年間13万を超えるサンプル数を元に調査分析できる情報サービス。外食市場規模、中食市場規模、客数を業態、セグメント別に把握可能。
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