メニュー

豆腐市場、低糖質・高たんぱくの栄養価値が見直され、堅調に推移

日本の伝統的な健康食品である豆腐。低糖質・高たんぱくの栄養価値が見直され、堅調に推移している。また、豆腐を使った新たな商品展開で、若年層へアプローチして市場の活性化を図っている。 

柔らかくなめらかな食感の充填豆腐が人気

 たんぱく質に加え、カルシウムやミネラルなどの栄養素が豊富な豆腐。春夏は冷奴、秋冬は鍋の具材など、年間を通して活躍している。食の洋風化などを背景にゆるやかな減少傾向だったが、健康志向の高まりで低糖質・高たんぱくという豆腐の栄養価値が見直され、健康食品としての需要が再び高まっている。

 KSP-POSデータの豆腐の期間通算(2021年10月~22年9月)の金額PIは、1万2434円で対前年同期比0.2%減。月別金額PIでは10月~6月まで微減傾向だが、7月~9月は微増となった。コロナ禍の内食生活の定着で豆腐の需要も高まったようだ。

低糖質・高たんぱくの栄養価値が見直され、堅調に推移している。(i-stock/kuppa_rock)

 豆腐には絹ごし豆腐、木綿豆腐、充填豆腐があり、近年は柔らかくなめらかな食感の充填豆腐が人気だ。食べきりサイズの2~3個パックが売れ筋で、そのまま使える6~8個の小分けタイプなども品揃えされている。

 充填豆腐ではタカノフーズの「絹美人」が人気。豆乳の甘みが感じられるなど、味わいで高く評価されている。また、柔らかくまったり濃厚な味わいの「寄せ美人」、鍋ものや煮物などに最適な「鍋美人」などラインアップを広げている。

 やまみでは、北海道産とよまさりを使用した「禅豆腐 北海道産とよまさり」シリーズが好評。風味がよく甘味があり、やわらかい食感が特長だ。

 豆腐はお味噌汁の具材や冷奴、湯豆腐などの食べ方が中心で、次いで麻婆豆腐や肉豆腐、スンドゥブなどが続く。日本の食卓に定着しているため、大きく需要を落とすことはないが、食べ方が広がっていないのが現状だ。

電子レンジ対応のひとり鍋や豆腐バーなど品揃えが拡大

 健康食品である豆腐をもっと食べてもらうために、各社では新しい豆腐を提案している。

 相模屋食料では、豆腐や調味だし、具材などがセットになって電子レンジで簡単に調理できる「ひとり鍋」シリーズや、チーズやうにのような味わいを再現した新しい価値観の「BEYOND TOFU」シリーズ、とうふ麺などを展開している。

 アサヒコでは、豆腐のお肉を使った「TOFFU PROTEIN」シリーズで、ガパオ、タコス、肉そぼろなどのメニューをラインアップ。また、良質な植物性たんぱく質が10gも含まれている「TOFU BAR」を展開。通常の絹ごし豆腐の約2.7倍のたんぱく質量があり、もっちり噛み応えのある食感で、手軽にたんぱく質を摂取することができる。スティックタイプなので、会社や自宅など、いつでも植物性たんぱく質を摂取できると好評だ。

 町田食品では、とろっとなめらかな濃厚とうふとスープがセットになって、電子レンジで簡単に調理ができる「とろりおかず豆腐」シリーズや、濃厚とうふと大豆ミートをセットにした「おかずやっこ」シリーズ、水溶性食物繊維イヌリン配合のとうふスイーツ「腸活とうふスイーツ」などをラインアップしている。

 こうした各社の商品は豆腐売場を活性化しており、電子レンジ対応商品は豆腐離れしている若年層を取り込んでいる。