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ストアブランドの「黒羊」が昨対120%と好調に推移、ラム肉の本場・ラルズの売場づくりは?

「ジンギスカン」がソウルフードとして慣れ親しまれている北海道。それだけにラムの消費量は全国の中でも多く、同地を地盤としてスーパーマーケット「スーパーアークス」「ビッグハウス」などを展開するラルズでは、早くからラムの売場づくりに力を入れてきた。しかし最近のラム高値トレンドを受けて、より幅広い価値提案型の売場展開への転換を図っている。

味や品質に優れた食べやすいオーストラリア産をストアブランド化

 もともと北海道では、ジンギスカン向けのラムの需要が高かったが、その中心は、切り落としや冷凍の味付け肉など、どちらかといえば価格訴求型商品だった。こうした市場環境の中で、ラルズでは、ラムカテゴリーへのてこ入れを図る目的で、5年ほど前から精肉売場トップにラムの専用コーナーを展開し、注目度を高め、訴求を強化してきた。

商品統括部生鮮食品グループ第3商品部 バイヤー 吉田 孝二氏

 同社商品統括部 生鮮食品グループ 第3商品部 バイヤーの吉田孝二氏は、「当時、北海道ではラムの専用コーナーを展開する店舗もなく、ふだんから日常的に食べるジンギスカンの材料として定番展開されてきた。価格も現在のような高値ではなく手頃だったので、それに合わせた売場展開を行ってきた。しかし、高値トレンドが今後も下がる見通しが立たない中で、価格訴求だけでは無理がある。ラムカテゴリーをさらに活性化するためには、何か変化が必要だと考えてきた」と語る。

 そこで同社では、トップで展開してきたラムコーナーの構成や品揃えを2022年4月に一新。ストアブランドの「黒羊」を全面に打ち出し、ステーキやローストなど、より高級感のある食事としての提案を強化することにした。

「オーストラリア産 黒羊」のコーナー表示を大きく掲げるトップのラムコーナー。モニターディスプレイでもレシピ情報などの発信を行う

 「黒羊」は日本ハムが輸入・販売するオーストラリア産「サフォーククロスラム」をストアブランド化したもの。味の良さや羊肉特有の臭みが感じられない点などが評価され、国内市場でも伸長を続けているブランドだ。

 価格が高いだけに、それに見合った1ランク上の商品、部位を揃え、より多様な食べ方を提案していく方向に舵を切ったのである。

ストアブランドの「黒羊」が昨対120%と好調に推移

 「日本ハムさんから提案を受けたことをきっかけに、『黒羊』という独自ブランドとしての訴求を開始してきたが、今のところラム専用コーナーが昨年対比120%程度の実績で推移しており、好調だ。提案内容は時季によって異なるが、現在は寒い時季に向かうタイミングを踏まえてしゃぶしゃぶ訴求をメインにしている」(吉田バイヤー)

 ジンギスカンや焼肉用などのニーズにも引き続き対応するため、別の売場を展開。さまざまな部位やカットを用意し、ニーズに応じた品揃えを行っている。

季節ごとにステーキやローストなど多様な食シーンを提案。現在はモモ肉のしゃぶしゃぶ用をメインに展開する

 吉田バイヤーは、今後もまだまだブラッシュアップしていきたいと話す。

 「特にレシピ提案についてはもっと情報発信を強化していきたい。北海道では、ジンギスカンという食文化が定着しているだけに、それ以外の食べ方があまり認知されていない面がある。ラムの多様でおいしい食べ方を提案していくと同時に、ラルズの店に行けば、ラムのいろんな部位があり、それに合ったおいしい食べ方がある、という認知が広がるように努力していきたい。ラム価格が輸入牛肉並みの水準に上がっている今だからこそ、第4の選択肢としてのラム提案が重要になっていると考えている」(吉田バイヤー)

調味料の関連販売も強化しており、カレー用のこま切れ肉とグリーンカレーの関連販売を実施していた

ラム肉の売場提案

ヘルシーイメージが強いラム需要は根強く、また日常とはひと味違う選択肢としても貴重な存在だ。専用コーナーを展開するチェーンも広がっているほか、焼肉用肉、ステーキ用肉のコーナーに、ラムを差し込む事例も多い。最近オープンした新店からラム売場の事例を見てみよう。

原信古正寺店

原信古正寺店(新潟県長岡市/2022年10月オープン)は、ラムの専用コーナーを設置。切り落としのほか、ステーキ用モモ肉、骨付きロース肉などの部位を揃える

ヨークベニマル鹿沼千渡店

ヨークベニマル鹿沼千渡店(栃木県鹿沼市/2022年6月オープン)も専用コーナーを展開。ニュージーランド産ラムをオープン特価で提供する

平和堂ビバホーム一宮店

平和堂ビバホーム一宮店(愛知県一宮市/2022年3月オープン)は、平台でラムコーナーを展開。肩切り落としやソテー用ロースなどのほか、味付け肉も合わせて展開する

マルエツ板橋南町店

マルエツ板橋南町店( 東京都板橋区/2022年9月オープン)では、定番コーナーで「サフォーククロスラム」を訴求。スペアリブやステーキ用ロースのほか、焼肉用ロースも展開する

ダイエー豊洲店

ダイエー豊洲店(東京都江東区/2022年4月オープン)では、オーガニックラムの骨付きロースやステーキ用モモ肉を、鮮度が長持ちする「真空スキンパック」で提供

MEGAドン・キホーテUNY矢作店

MEGAドン・キホーテUNY矢作店( 愛知県岡崎市/2022年3月オープン)では、大容量品を中心に多様な部位を取り揃える。棚帯などでヘルシーさを訴求する

セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店

セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店(東京都渋谷区/2022年4月オープン)では、冷凍肉の平台に大容量のストック用ラムを展開する

ライフ豊洲店

ライフ豊洲店(東京都江東区/2022年9月オープン)では、バーベキューコーナーの多様な品揃えの中で、ラムスライスを展開する