メニュー

シチュー市場、秋冬の煮込み料理の定番、簡便時短の訴求でトライアルの促進へ

シチューは秋冬期の煮込み料理の定番で季節性の高いカテゴリーだが、コロナ禍以降内食需要が高まる中、シチューをつくる家庭も増加。フライパンでの短時間調理が可能なルウも出てきていることから、店頭露出を増やし気付きを与える施策も必要だ。

カレールウと比較し、季節性の高いカテゴリー

 KSP-POSによると、2021年9月から22年8月のシチュールウカテゴリーの期間通算金額PIは前年同期比0.6%減の1496円、数量PIは2.6%減の7.72と、金額・数量ともに前年を若干割り込む結果になった【図表】。

 同時期のカレールウ・カレー粉の金額PIが前年同期比3.1%減であることを鑑みると、シチュールウは比較的堅調に推移しているといえるだろう。

 またレトルトをはじめとした調理済みシチューの金額PIは前年同期比1.3%減となった。

フライパンでの短時間調理が可能なルウも出てきていることから、店頭露出を増やし気付きを与える施策も必要だ。(i-stock/zepp1969)

 秋冬の煮込み料理の定番であるシチュールウは、同じルウタイプのカレーに比べると気温の変化や天候等の影響を受けやすいカテゴリーで、基本的に秋冬物の立ち上がりとなる9月から一気に数字が上がり、10月から翌年2月までが山場となる。

 最も需要が高くなる11・12月と最も低くなる7・8月では、金額PIの値に4~5倍近い差が生じるのが特徴だ。

 今期の月別の数字を見ると秋口で新商品の登場が相次ぎ店頭での露出が増えた21年9月は前年比5.2%増と好調に推移。しかし10月は6.0%減、11月は前年並みだったが山場である12月と翌年1月は前年割れとなった。

 22年2月は11.7%増、3月も5.4%増と好調だったが春先から下がり、特に5月は10.8%減と大きく数字を落としている。

 近年は少子高齢化による世帯人数の減少に加えて、有職女性の増加に伴い、仕込みに手間のかかる煮込み料理を敬遠するユーザーが増えている。

 特に2~3人の少人数世帯にとっては、シチュールウをひと箱分使ってつくろうとすると、出来上がりの分量が多すぎるため、半箱分ずつ2回に分けて使用するユーザーが多い。

 この使用状況を踏まえ、各メーカーはパッケージ裏面のつくり方について半箱分の分量で記載したり、シチュールウを使ったアレンジレシピをブランドサイトやSNSで紹介したりするなど、手に取りやすくなる工夫を行っている。

チーズ系やパウダータイプ
新たなメニューも登場

 シチュールウはハウス食品の「北海道シチュー」シリーズや、エスビー食品の「濃いシチュー」シリーズといった、誰もが知るロングセラーブランドが市場を支えている。

 このカテゴリーは長年ホワイトシチューとビーフシチューの2メニューをメーンとし、各ブランドが商品をブラッシュアップさせることで売場を盛り上げてきた。

 しかし最近では、パンや野菜につけて楽しめるフォンデュタイプの「北海道フォンデュシチュー」、厳選された4種のチーズとブイヨンを合わせ、スパイスで奥行きのある味わいに仕上げたスターシェフ監修の期間限定メニュー「濃いシチュー<4種のチーズ>」のように、チーズの味わいを軸にした新しいタイプのシチュールウ商品も発売されている。

 今期も新たなシチューメニューが登場している。

 ハウス食品は子供が喜ぶクリーミーなまろやかさと、大人が満足できるデミグラスのコク深さを併せ持った新メニューとして