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ブランド米市場、味や食感の違いを紹介し、こだわり派の消費者に向け訴求を

日本人の主食である米は少子高齢化や世帯人数の減少、食の洋風化などに伴い消費が減少しているが、コロナ禍で内食需要が高まったことも影響し、「おいしいお米を食べたい」とブランド米を選ぶ消費者が増えている。

価格の下落はあるものの
コロナ禍のなか堅調に推移

 日本人の食生活に欠かせない存在である米。しかし1人あたりの年間消費量は1962年をピークに減少が続いており、20年には50.7kgとピーク時の半分以下となっている。また消費量の減少に伴い、米の販売価格も下落傾向にある。

「おいしいお米を食べたい」とブランド米を選ぶ消費者が増えている。(i-stock/kaorinne)

 家庭用については需要が拡大している側面もある。KSP-POSデータによると、2020年の米カテゴリー全体の期間通算金額PIは前年同期比6.6%増の2万4770円、数量PIは5.1%増の14.0。これはコロナ禍による外食から内食の流れに加えて、外出自粛に伴うまとめ買い需要の影響もあると推測される。しかしコロナ禍以前の19年も金額・数量共に前年を上回っていることから、家庭用の米消費については一考する必要がありそうだ。

 コロナ禍を機に家で食事する機会が増えたこともあり、和食や米食を見直す消費者が増えてきた。そんな環境下、注目されているのが、おいしさにこだわった付加価値型のブランド米の存在だ。

 ブランド米には明確な基準がある訳ではないが、農林水産省によって指定された産地品種銘柄の単一銘柄米をブランド化したものをブランド米と呼ぶことが多い。ブランド米は食味やつや、食感に加えて、安全・安心や特別栽培など他の米との差別化につながる特徴を持っている。各産地では独自性のあるブランド米を生み出すため、研究開発やマーケティング活動に日々力を入れている。

新米の時期に合わせ
ブランド米の魅力伝える

 ランキングを見ると、「北海道産ゆめぴりか」をはじめ、「こしひかり」「ひとめぼれ」「あきたこまち」「ななつぼし」など、多くのブランド米が並ぶ。全国区となっている銘柄は一部であり、今後売上規模を拡大していくためには産地以外の土地での認知度を上げることが必須といえる。

 少子高齢化による世帯人数の減少や食の洋食化などに伴い、若年層を中心に米離れが進んでいる。しかしコロナ禍の影響で内食需要が高まったことに加え、巣ごもり需要により「ちょっといいもの」が選ばれる傾向にある。近年は家庭用炊飯器も高機能・高価格帯の商品が良く動いており、そういった視点でもブランド米は訴求しやすい商材といえるだろう。

 米は主食として日常的に食べるものであり他のカテゴリーと比較して季節性は少ないが、新米の季節はエンドや催事で売場を作る店舗も多い。ブランド米ごとの特徴を伝えるPOPなどで消費者の興味を引き購買につなげていきたいところだ。