良品計画(東京都)が展開する「無印良品」において、化粧水は1997年の発売から20年以上にわたって販売されているロングセラー商品だ。化粧品シリーズは今や「無印良品」の中でも中核的な商品の1つとなっている。そんな同シリーズのブランドの1つ、「クリアケアシリーズ」が7月13日にリニューアルした。クリアケアシリーズの開発秘話や製品の特長、「無印良品」の化粧品カテゴリの今後について、生活雑貨部のH&B担当カテゴリーマネージャーの中野倫弥氏に聞いた。
男性客からも支持! その理由は?
2018年4月に発売された無印良品の「クリアケアシリーズ」は、「エイジングケアシリーズ」「敏感肌シリーズ」など他シリーズよりもやや若い層をターゲットとしている。早くから無印良品のスキンケアを知り、最初に使う商品として選んでもらうことで、その後も継続的に使ってもらう流れをつくる、また、はじめて無印良品を知ってもらうきっかけづくりをめざしたのがこのクリアケアシリーズだ。
22年7月のリニューアルでは、コロナ禍のマスク生活によって引き起こされる肌荒れ、マスク内の蒸れからくるニキビや皮脂などさまざまな肌トラブルに対応すべく、毛穴やキメの乱れとなどの悩みにフォーカスしている。
良品計画によればリニューアル後の販売は非常に順調で、リニューアル前に比べ売上高は160%ほど伸長しているという。「店舗からの声を聞くと、ターゲットの若年層のほか、男性のお客さまにも目をとめていただいている」(中野氏)とのことで、男子中高生から30代ぐらいの男性からもよく購入されているという。
その一つの要因として、今までにない特徴的なブルーのボトルが売場内で目を引くこと、また、女性だけでなく、男性も手に取りやすいデザインであることが挙げられる。また、近年は男性用化粧品の需要が伸びる中で、「何を使ったらよいのかわからない」という層も手に取りやすいシンプルなデザインであることも男性支持の理由として考えられそうだ。
化粧品づくりに生かされる無印良品のこだわりとは
今回のリニューアルに伴い、クリアケアシリーズではボトルカラーを変更、以前からも青を基調としていたが、シックで落ち着いた印象のより深い青にすることで、マスクによる肌荒れやニキビを沈静化するようなイメージを表現している。
開発では、他シリーズと比べて売上のボリュームが少なかったということもあって、シリーズの“顔”、核となる商品をつくることを念頭に置いたという。そこで開発されたのが、「クリアケア薬用拭き取りローション」だ。
手軽にふき取るだけで肌のケアができる同商品は、洗顔代わりに朝使うなど、さまざまな使い方ができる。以前も、同シリーズで「拭き取り化粧水」をラインナップしていたものの、今回投入した商品は「薬用」とすることで悩み改善に寄与する成分を強化しているのが特徴となっている。
開発でこだわったのは、アルコールフリーとしながらも、さっぱりとした使用感を維持するという点だ。そうした使用感を実現するため、保湿剤を変更したり、肌馴染みがよい原料を使用したりなどの工夫を凝らしたという。また、「肌への優しさ」にもこだわっており、アルコールフリー以外にもパラベンフリー、鉱物油や合成香料を不使用としている。
そのほか「使用時の気持ちよさ」という点では100%天然のエッセンシャルオイルで香りづけをしている。容量も300mlと一般的な化粧水としてはやや多めとしており、「少しずつではなく毎日たっぷりと使える」というコストパフォーマンスも追求しているのも特徴の1つだ。
ちなみに、無印良品のスキンケア商品に使用されている水は、すべて飲料水としても利用されている岩手県釜石市の天然水となっている。精製水ではなく、自然にろ過された天然水を使用した化粧水は非常に珍しいという。「飲んでもおいしいものを肌に取り入れたい」という発売当時からの同社のこだわりが、今回のリニューアルでも貫かれている。
ライブコマースによるプロモーションを展開!
発売後、新商品の「クリアケア薬用拭き取りローション」は現在、同シリーズの売れ筋となっている。プロモーションにおいてもクリアケアシリーズを強く打ち出していることも奏功してシリーズ全体の売行きも好調だという。
今回のリニューアルと同時に新しい取り組みとして行ったのが、発売当日のライブコマースによる商品紹介だ。通常、無印良品のプロモーションは店頭がメインになることが多いが、今回はライブコマースを実施するほか、オンラインストアのトップにもバナーを掲載するなど、オンライン・オフライン双方で積極的にプロモーションを展開した。
ライブコマースでは、化粧品の開発担当者と「無印良品 銀座」の店舗スタッフが出演し、使い方や商品の特徴をアピール。こうした取り組みにより、リニューアル後のクリアケアシリーズはオンラインでも売れ行きが好調だという。
今後の商品開発について、中野氏は「ニキビケアをはじめ、若年層の方が抱える肌悩みに対応する商品に挑戦したい」と話す。無印良品のスキンケア商品では、リニューアルのタイミングはとくに設定していないそうで、発売から10年以上、リニューアルしていないロングセラー商品もあるという。
「お客さまに支持されているものに関しては長く売り続けるのが、メーカーの責任と考えている。これまでにないメリットをお客さまに提供できる商品については、リニューアルも積極的に行っていきたい」(中野氏)。