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カレー市場、時短・簡便・本格派がキーワード、こだわりの味わいを楽しむユーザーが増加

家庭料理の定番として不動の地位を占めるカレー。コロナ禍以降、家でも本格的な味わいを楽しみたいというユーザーが増え、さまざまなタイプのルウが登場している。また簡便・時短につながるレトルトカレーも有名店監修など付加価値型の商品の動きが良くなっている。

パウダールウやスパイスカレー等、バリエーションも豊富に

 KSP-POSによると、2021年6月から22年5月のルウカレーカテゴリーの期間通算金額PIは前年同期比4.0%減の4400円、数量PIは4.2%減の22.94となった【図表1】。

 月別の推移を見ると、21年7月に10%以上の大幅減となったが、それ以外は1ケタ台の微減で推移し、22年2・3月についてはプラスで着地している。

コロナ禍以降、家でも本格的な味わいを楽しみたいというユーザーが増え、さまざまなタイプのルウが登場している(i-stock/kazoka30)

 カレーは大人から子供まで家族で楽しめる家庭料理の定番であり、気温など季節の影響を比較的受けづらいカテゴリーだが、気温が高くなる春から夏にかけて数値が上がりやすい傾向にある。

 ただしコロナ禍に入ってからは感染予防の観点から外食を避け自宅で食事を摂る機会が増えたこともあり、今期の金額PIを見ても、秋口に一度数字が下がったものの22年1月以降は夏場以上に高い水準を保っている。

 また、ルウカレーのマーケットは調理の手間や世帯人数の減少などを背景に近年レトルトカレーにシェアを奪われていたが、コロナ禍以降は時間的余裕ができたことでルウカレーを使った手作りカレーの価値が見直されている。

 ルウカレーは近年、スパイスカレーやキーマカレー、パウダータイプのルウなど新たな価値訴求の商品が出てきている。中でもエスビー食品の「本挽きカレー」は溶かしやすいパウダータイプのルウで好調に推移している。

 また、「スパイスカレーつくろ!」シリーズは短時間・少ない材料でスパイスカレーが作れる簡単調理キットとなっており、家でも本格的な味を楽しみたいという客層に向けて訴求している

家で楽しむ手作りカレーの価値を改めて訴求

 一方、レトルトカレーカテゴリーの21年6月から22年5月の金額PIは前年同期比0.3%増の4306円、数量PIは4.0%減の22.97となった【図表2】。同カテゴリーはルウカレーからの流入に加え、コロナ禍以降は在宅のランチ需要等も取り込み一気に需要が拡大したが、今期はその動きも落ち着いてきている。

 月別の推移を見ると21年6月から8月までは前年を上回って推移していたが、9,10月に前年を割り込み、11月に前年並みに戻ったものの、年末年始には再び前年割れと以前のような勢いは見られない。

 レトルトカレーは欧風カレーのような定番品に加え、有名店監修や激辛系、ご当地カレーなどバラエティ豊かな品揃えが魅力だ。近年は電子レンジ調理対応のレトルトカレー商品も増えており、簡便性の高さから需要が高まりつつある。

 エスビー食品では「噂の名店」や「神田カレーグランプリ」「ホテル・シェフ使用ビーフカレー」が2ケタ増で推移。今期は10種類のスパイスを組み合わせた「S&Bスパイス屋」、人気グルメバラエティとコラボした「町中華で飲ろうぜ 豚バラ肉のカレー」を投入する。

 長引くコロナ禍の中で、家庭の定番メニューであるカレーの需要は今後も続くだろう。特にルウカレーは生鮮品との相性もよくバスケット単価の買上点数アップにつながる商品として、食品スーパーには欠かせない存在となっている。生鮮品とクロスMDも積極的に仕掛け、家で楽しむカレーの価値を改めて訴求していきたいところだ。