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食用油市場、計4回の価格改定の中、金額ベースで過去最大の市場規模を更新

2021年度(4月~翌3月)の家庭用食用油市場は、価格改定が進むことにより、昨年度の内食需要拡大の裏年となるにも関わらず、金額ベースでは過去最大の市場規模を更新した。食用油の健康性やおいしさに期待する生活者のトレンドは変わっていないため、今後もコストの上昇が続くなか、需要の喚起にどう取り組んでいくかが課題となっている。

汎用油は価格改定の影響で、金額ベースで拡大

 2020年度は、コロナ禍の内食需要の拡大で食用油の物量は対前年同期比で10.4%増と伸長したが、21年度はその反動で前年割れとなった。ただ19年度対比では21年度は2.4%増と堅調だ。金額ベースでは昨年、大豆や菜種、パーム油などの原料の高騰により、4回価格改定が行われたことで、21年度は金額ベースで対前年同期比0.4%増と、過去最高の市場規模を更新した。

食用油の健康性やおいしさに期待する生活者のトレンドは変わっていないため、今後もコストの上昇が続くなか、需要の喚起にどう取り組んでいくかが課題となっている。(i-stock/masa44)

 カテゴリー別にみると、昨年価格改定を行ったキャノーラ油は金額ベースで同3.1%増、物量ベースで同15.9%減。レギュラーは金額ベースで同0.8%増、物量ベースで同10.1%減となった。物量ベースで減少傾向にある汎用油は価格改定の影響で金額ベースでは拡大に転じている。

 オリーブオイルは金額ベースで同3.5%減、物量ベースで同2.9%減。フルーティーな香りと風味が特徴のオリーブオイルは、健康性やおいしさ、汎用性の高さから支持されているが、購入世帯率はあまり拡大していないことが予想される。

 ごま油は金額ベースで同0.8%減、物量ベースで同2.6%増。コロナ特需の反動はあるものの堅調な推移といえる。ごま油はおいしさに加え、健康面でも支持されていることから、日清オイリオグループでは、今年春に機能性表示食品の「日清ヘルシーごま香油セサミンプラス」を発売した。機能性をわかりやすく訴求することで、健康に気づかう人を取り込んでいく。

 こめ油はここ数年、伸長が続いている。金額ベースで同26%増、物量ベースで同35.9%増。19年度と比較すると金額ベースで69.1%増と大きく伸長した。原料のナチュラル感に加え、揚げ物がカラッと揚がるなどの特徴が支持されている。とくにキャノーラ油との価格差が縮まったことでより買いやすくなり、キャノーラ油からのシフトが増えている。ただ、7月にはオリーブオイル、ごま油、こめ油も5~30%の価格改定が発表されていることから、今後の動きに注目が集まっている。

調味料感覚で使える風味油が拡大傾向

 サプリメントのように毎日の摂取を推奨するプレミアムオイルは、金額ベースで対前年同期比21%減、物量ベースで同19.5%減。金額ベースの主な内訳は、しそ・えごま油が同25.8%減、アマニ油が同21.7%減、MCTオイルが0.8%減。消化吸収がよく、エネルギーになりやすい中鎖脂肪酸は、スポーツする人や健康・美容に気づかう人から支持され、一般へと広がりはじめている。また、アマニ油市場は縮小トレンドが続いているが、TVなどで取り上げられると跳ねることから、メディアでの露出が市場拡大のポイントといえそうだ。

 そのほか、料理の味つけや仕上げにかけたりつけたりする、調味料感覚で使える風味油は金額ベースで同12.2%増、物量ベースで同11.8%増と好調に推移している。油の調味料化が浸透すれば、さらなる拡大が期待できる。

 油脂の原料高騰は続いており、昨年に引き続き、今年4月にも価格改定が行われた。食用油をいろいろなかたちで使うトレンドは続いているため、引き続き、使い方が広がる提案が求められている。