メニュー

紙パックの普及からリサイクルまで、イオン、ライフ、ビオセボンが推進する環境への取り組みとは

イオンスタイル野田阪神の飲料品売り場
イオンスタイル野田阪神の飲料品売り場(右)にアルミ付き紙容器の店頭回収・リサイクルを促す狙いで設置された案内POP(左)2024/7/13撮影

欧・スウェーデンで誕生し、世界160カ国以上で食品・飲料用紙容器を製造するテトラパック。食品加工処理から製品梱包に至るまで一貫したソリューションを提供しているのが強みだ。その日本法人である日本テトラパックでは、SDGsへの関心が高まる中、小売業や関係各所と連携しながら持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進している。

CO2排出量が少ない紙容器PB製品への採用が増加

 テトラパックが提供する食品・飲料用紙容器(以下、紙容器)は、約70%が再生可能資源といわれる紙素材(※1)からつくられている。

※1 テトラパックの紙容器に使用されている原紙はすべてFSC®認証を取得し、責任調達を通して生物多様性の保全に努めている。

 残り約30%は、キャップや包材などに使用されるポリエチレンやアルミ(※2)だが、近年はサトウキビを原料とする植物由来のポリエチレンを使用したキャップや包材(※3)に切り替えが可能となっており、一部容器では再生可能資源の割合を99%まで高めることができる(※4)。

※2 紙容器は、冷蔵流通用の「チルド容器」と、常温で長期保存可能な「アセプティック容器(=アルミ付き紙容器)」の2種類に大別され、前者は紙繊維とポリエチレン、後者は常温保存を可能にするため紙繊維・ポリエチレンのほか、アルミが使用されている。
※3 原材料にはボンスクロ認証を取得したサトウキビが含まれており、持続可能なサトウキビ生産と責任調達を確実にしている。
※4 学校給食の牛乳用「テトラ・ブリック®容器」のコーティングに植物由来ポリエチレンを使用した場合。

 まさに紙容器は環境にやさしい包材なのだ。こうした点に着目し、小売業界では植物性ミルクなどのPB製品に紙容器を採用するケースが増えている。

 では、どのくらい環境にやさしいのか。同社が第三者機関と協働し、飲料容器の原材料調達から製造・加工までのCO2排出量を測定したところ、図表❶に示すように、ペットボトルに比べて紙容器は50%以上低いことが判明した。


 「容器のCO2排出量がほぼ半減することが調査からわかりました。とくに飲料は生産量が多いだけに、その影響は大きいといえるでしょう」と話すのは、日本テトラパック マーケティングマネージャー。それゆえ、ミネラルウォーターでも紙容器へのシフトが進んでいる。

 「当社の紙容器ミネラルウォーターの出荷量は着実に増加しており、特に23年は前年比1.5倍に急増し、市場は拡大傾向にあります(図表❷)。これまでホテルやアパレル、カーディーラーなどでサステナビリティに取り組む企業姿勢を示すアイコンとして導入されていましたが、オーガニック・スーパーマーケットのビオセボン社でもPBの飲料水に当社の紙容器をご採用いただくことになりました。

 今後も環境負荷の軽減を訴求しながら、環境に配慮した紙容器の普及に取り組んでいきたいと考えています」(一柳氏)

事例紹介①ビオセボン
地球環境にやさしいお店をめざし紙容器入りPB飲料水を発売!

 フランス・パリで誕生したオーガニック・スーパーマーケット、ビオセボン。「オーガニックを日常に」をテーマに、2016年に日本1号店として麻布十番店をオープン。現在では東京と神奈川で24店舗、さらに全国発送のオンラインストアを展開している。

 「1号店開店以来、マイバッグの推進やバルクフーズ(量り売り)を設置するなど、地球環境にやさしいお店をめざしています」と話すのは、営業企画部マーケティングチームの井手内静氏。こうした取り組みが功を奏し、「買物を通じて環境保護に貢献したい」と考える顧客が増えてきたと話す。

飲料水にもテトラパックの紙容器を採用

 そこで同社では、日常に欠かせない飲料水も環境に配慮した紙容器で提供したいと、23年9月よりテトラパックの紙容器を採用した「海洋深層水」(500ml)を発売。あわせてストックに便利な15本入りケースも投入した。

パッケージのデザイン性も高い紙容器の「海洋深層水」(500ml)

 これまで同社では植物性ミルクなどの直輸入商品では紙容器を採用していたものの、飲料水での採用は初の試み。

 日本テトラパックにおいても、飲みやすく、使い切りやすい500mlの容量タイプの紙容器を飲料水市場で展開するのは国内初。両社にとって大きなチャレンジだったが、発売以来、若年層を中心に支持を集めている。

 「環境問題に関心の高い大学生が集まるイベントなどで提供したいと引き合いも多く、手応えを感じています。今後もプラスチック削減をめざし、紙容器入りの飲料水を浸透させていきたいと思います」(井手内氏)

 紙容器の普及のみならず、使用済み紙容器のリサイクルにも力を入れている日本テトラパックは、循環型社会の実現に向けた取り組みを新たに始動させた。それが、アルミ付き紙容器から段ボールへ再生させるリサイクルシステムだ(図表❸)。

 実は、日本国内におけるアルミ付き紙容器の大半は焼却処分されている。紙繊維とポリエチレン・アルミ層へ分離する技術と設備を兼ね備えたリサイクル工場を西日本で強化するため、タッグを組んだのが王子ホールディングスだ。

 「環境・社会との共生」を経営理念の一つに掲げる王子グループは環境問題への取り組みを積極的に行っており、同社と想いが一致したのである。

 「このリサイクルシステムは、店頭や自治体などから回収するアルミ付き紙容器のほか、当社および食品・飲料メーカー様の工場から排出される損紙も回収し、王子グループの工場で段ボールにリサイクルします」と話すのは、日本テトラパック サステナビリティディレクターの大森悠子氏。

店頭回収が全体の4割

 これまで紙容器のリサイクルといえば、トイレットペーパーやティッシュが一般的だったが、国内で初めて段ボールとしてリサイクルするシステムを確立した。

 新たな最終製品が増えることで、アルミ付き紙容器のリサイクルを広げていきたいと大森氏は力を込める。実際、回収に協力する小売業からも意義のある取り組みだと高評価だ。

 「店頭回収は、使用済み紙容器の回収チャネルとして一番大きく、全体の4割を占めており、身近な回収拠点です。現在、店頭で回収されたアルミ付き紙容器をリサイクルした再生段ボールが、食品・飲料メーカー様にて採用されるよう取り組みを進めています。それにより、食品・飲料業界全体の循環型社会の実現とその可視化、環境価値訴求が可能になると考えています」(大森氏)

事例紹介②ライフ
関西エリアの約160店舗でアルミ付き紙容器の店頭回収をスタート

 今年5月より関西エリアのライフ約160店舗でアルミ付き紙容器の店頭回収がスタートした。

 以前からアルミ付き紙容器の回収についてお客さまから要望があったものの、限られた店頭スペース、店舗でアルミ付きと通常の紙パックを分別することへの作業負担、さらに未分別ではリサイクラーに搬入できないなどが課題となり、実現されずにいた。

 このたび日本テトラパックと王子ホールディングスが協業してリサイクルシステムを構築し、大本紙料の協力を得てリサイクルへ向けた回収が可能になったというわけだ。

 「アルミ付き紙容器のリサイクル回収は、製造者・販売者・消費者がリサイクルすべきとの共有認識がありながら、なかなか課題解決できませんでした。しかしながら、関係各所のご協力により実現可能となり、これは非常に大きな成果と感じています。当社だけでは実現が困難なことも、今回のように連携しながら一つひとつ取り組んでまいります」(ライフ広報担当者)

事例紹介③イオン
商品棚に案内POPを掲示し消費者へアルミ付き紙容器の回収・リサイクルを訴求

 アルミ付き紙容器の回収・リサイクルを消費者へ呼びかける施策として、日本テトラパックはテラサイクルジャパン社と協業し、回収・リサイクルを訴求する案内POPを製作。

 今年5月より順次、イオンリテール近畿カンパニーが展開する近畿エリアのイオン83店舗にて、該当商品が陳列された商品棚への掲示を開始している。

 同店舗には、案内POPと同じデザインのアルミ付き紙容器専用の回収ボックスが設置されている。これにより、お客さまが売場でアルミ付き紙容器入りの製品を簡単に識別することができるようになるとともに、店頭回収・リサイクルへの行動を促している。

 「この取り組みは非常に意義があり、当社としても認知度を上げることが重要と考え、お客さまへの告知を進めているところです。今後も関係各所と連携し、SDGs達成への取り組みに貢献してまいります」(イオン広報担当者)

日本テトラパックのソリューションやお問い合わせについては、当社HPをご覧ください

テトラパックの公式HPはこちらから