Intrepid Spirits 社(アイルランド・ダブリン/ジョン・ラルフCEO)の「COCALERO」は、この数年で急成長している注目のハーブリキュールブランド。同社のジャパンカントリーマネージャーを務める畑 幸男氏に、「COCALERO」の魅力と日本国内でのマーケティング戦略について話をきいた
17種類のボタニカルをブレンドしたプレミアムハーブリキュール
Intrepid Spirits(イントレピッド・スピリッツ)社は2013年にアイルランドで創業されたスピリッツ・リキュールの新興メーカーだ。同社は地域文化に根ざしたブランディングにフォーカスし、伝統的な製法で革新的な商品を次々と開発している。
現在、アイルランドのダブリンに本社を置き、アムステルダム、サンフランシスコ、上海に支社を構え、20年3月には日本エリアのカントリーマネージャーとして、畑 幸男氏が着任している。
イントレピッド・スピリッツ社はアイリッシュウイスキーをはじめ、ベルモットやアイリッシュポティーンのオリジナル商品を開発するほか、パートナーブランドのディストリビューターも務めている。数ある商品群の中で、最も成功を収めているブランドが「COCALERO(コカレロ)」だ。「コカレロ」は、南米原産のハーブと文化にインスパイアされたアイルランド産のプレミアムハーブリキュール。蒸気蒸留製法によって抽出したエッセンシャルオイルを使用。このエッセンシャルオイルとともに、朝鮮人参、ジュニパー、アマゾンガラナ、オレンジピール、ジンジャーなど、17種類のボタニカルをブレンドした独自のレシピでつくられている。
若年層の支持を集め輸入リキュール2位に
「コカレロ」は日欧米諸国を中心に数多くの国・地域で販売されており、日本ではアイディ商事社を通じて14年より販売を開始した。
ラインアップは、透明感のあるグリーンが美しい「コカレロ・クラシコ」と、アヒパンカと呼ばれる南米特産のペッパー等を加えたスパイシーなテイストの「コカレロ・ネグロ」の2種。「Discover your RITUAL」をコンセプトとし、ショットはもちろん、ソーダ割りやエナジードリンク割り、カクテルなど、自分好みの飲み方で楽しむことができる。
特徴的なのが「ボムグラス」という名の独自形状のグラスによる「コカボム」と呼ばれるスタイル。下にエナジードリンクなどの割り材、上の部分に冷やした「コカレロ」を注ぐことで美しいツートーンカラーを楽しむことができる。
「コカレロ」はオリジナリティのあるフレーバーや飲み方提案に加えて、「ウルトラジャパン」などのイベント協賛やミュージックビデオでの採用、独自のラジオ番組での情報発信といった施策により、インスタグラムをはじめとしたS N S でも「映えるアルコール」として話題性・拡散性が高く、20 代から30代前半の若年層には抜群の知名度を誇る。
日本国内のマーケットにおいても毎年1万ケース以上の伸びを見せ、ほかのリキュール類が苦戦するなか、発売から数年で輸入リキュール市場で2位まで上昇。19年は17年対比で170%増と、近年稀にみる成功を収めたリキュールブランドとなっている【図表】。
これまで主に業務用チャネルで知名度を上げてきた「コカレロ」だが、20年より、家庭用チャネルに本格参入するべく大きく舵を切った。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で家飲み需要が高まったことも追い風となり、これまで業務用チャネルでコカレロを楽しんでいたファン層が家飲みにシフト。家庭用チャネルやE C での購入が増加傾向にある。カントリーマネージャーを務める畑氏は「家庭用チャネル向け戦略が奏功し、またコロナ禍も一因となり販売数量も大きく伸長した。これにより、業務用と家庭用の売上比率が9対1から7対3となり、年間売上にも貢献している。今後、家庭用流通体制をさらにいっそう強化し、家庭用チャネルにフォーカスしていきたい」と語っている。
ボムグラス付きのプロモーション商品も展開
この好調を受けて、「コカレロ」は今期も家庭用のマーケティングに注力。これまでは一部の家庭用チャネルにとどまっていたが、今春より流通体制が整い、一般家庭用市場に本格参入する。これまで「コカレロ・クラシコ」は700mlボトル、375mlボトルの展開だったが、トライアルユースを考慮した50ml ボトルを投入する。
「コカレロ」は「クラシコ」700m l が5280 円、「ネグロ」が5500 円と、リキュールとしては高単価のプレミアムラインの商品となる。エナジードリンクやトニックウォーターなど割り材との関連販売に加え、肉料理との相性もよいことからお家バーベキューなどのシーン提案でも売場を盛り上げてくれるだろう。
畑氏は「数年前から、ビールやワインでも付加価値型の高単価品が伸長しているが、コロナ禍によってその傾向がいっそう強まった。家でちょっといいものを楽しみたいというニーズに『コカレロ』はマッチしており、流通各社にとっても利益商材となる」と自信を見せる。商談でも流通各社のバイヤーからの反応は非常によく、引き合いも強いという。
夏のプロモーション施策として、「コカレロ」ブランドの象徴でもある「ボムグラス」を、700ml商品・375ml商品にそれぞれ2脚ずつつけたオンパック商品のほか、夏の提案として、ブランドロゴ入りのグラスをセットにした、「コカレロ700m l バルーングラスセット」を展開。P O P やボード、什器といった店頭用の販促物ツールも準備している。
イントレピッド・スピリッツ社ではほかのリキュールにはない独自価値を持つ「コカレロ」の提案で、輸入リキュール市場の活性化に貢献していきたいとしている。
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