米国では、食品小売と調剤薬局は密接な関係性にある。多くの米国人にとって「スーパーマーケット(SM)にはファーマシー(調剤薬局)も併設されていて当然」なのだ。そしてコロナ禍の現在、SMはPCR検査やワクチン接種拠点としての機能も担う“国民を守る”場所でもあり、さらにはクリニックの運営、オンライン診療など、さらに一歩踏み込んだ取り組みも拡大し始めている。
調剤市場におけるSMの存在感大きく
バイデン政権は9月、デルタ株感染拡大抑制のため「アマゾン(Amazon.com)、クローガー(Kroger)、ウォルマート(Walmart)では向こう3カ月間、コロナ検査キットを定価の35%引きで販売する」と発表した。
米国はワクチンが存在しなかった昨年の感染ピーク時、徹底的に検査を拡大することで感染拡大をコントロールした実績がある。昨年5月にはクローガーをはじめとする大手SMが、ウォルグリーン(Walgreens)、CVSなど大手ドラッグストア(DgS)と同じタイミングで、次々と店舗駐車場にドライブスルー式検査会場を設営し、数世紀に1度の大禍から国民の命を守る政策に力を貸した。背景には国による健康保険制度が日本ほど整備されていない、医療費が高い、などのインフラの違いはあるものの、米国ではSMは“医食同源”の文字どおり、日々の医療と食生活の双方を支えるライフラインとなっている。
図表❶は米国の調剤市場におけるトップ15社のシェアを示したものだ。
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