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日本マクドナルドHD、24年度上期大幅営業増益の理由とは

日本マクドナルドホールディングス(東京都:以下、日本マクドナルドHD)は2024年12月期の連結決算を発表した。中間決算は、既存店売上高の伸びがけん引し、増収増益で着地。日本マクドナルドHDの決算概要と今後の施策についてレポートする。

既存店売上高の伸びがけん引し、増収増益で着地

 日本マクドナルドHDの24年12月期第2四半期決算(連結)は、売上高が対前年同期比10.2%増の2009億円、営業利益が同31.9%増の237億円、当期純利益が同31.0 %増の148億円の増収増益だった。

 売上高は、新メニューの開発や店舗ポートフォリオの最適化による顧客体験の向上、マーケティングの強化などに加え、一部商品の店頭価格を1月に改定したことで既存店売上高が同5.0%と大きく伸長、2ケタの増収を果たした。

 営業利益は、売上高増加の効果に加え、原材料調達の工夫や店舗オペレーションの効率化が奏功。さらに、為替変動の影響のほか、原材料費や物流費、水道光熱費の上昇も緩和したことより、前年同期から増益となった。

中期経営計画に沿った施策を展開

 日本マクドナルドHDは22年を起点とする3カ年の中期経営計画を22年2月に策定。そのなかで「メニュー・バリュー」「店舗・デジタルピープル」「ブランド」の3つを軸に施策を展開することを発表している。会見では24年度におけるその取り組みについても触れられた。

 まず「メニュー・バリュ―」として、期間限定商品を次々に展開。第2四半期中は「チキンタツタシリーズ」や「ヨーロッパバーガーズ」などを販売した。また、プレミアムローストアイスコーヒーやカフェラテなどのリニューアルにも着手している。

 次に「店舗・デジタルピープル」として、キッチンの製造能力強化やドライブスルーレーンの増設、デリバリーサービスの向上などに積極的に投資した。24年12月期は約100店舗の出店・退店を計画しており、第2四半期は39店舗の新規出店、50店舗の閉店を行い、「計画通りの進捗だ」(日本マクドナルドHD取締役・執行役員 兼 最高財務責任者の吉田修子氏)。

 また、「ブランド」力の向上として、50年までに温室効果ガスの排出量をプラスマイナスゼロにすることを目標に気候変動対策を強化するなど、サステナビリティに関する取り組みも積極的に行った。

通期目標は期初目標を据え置きに

 中間決算は好決算となった日本マクドナルドHDだが、第3四半期の初月となる7月の既存店売上高は対前年同月比1.6%減と、約4年ぶりに前年同月実績を下回った。システム障害によるレジの不具合が7月19日に発生し、約3割の店舗で一時営業を停止したことが既存店売上高を押し下げたかたちだ。なお、7月26日には全店で営業を再開している。

 また、ビジネス環境についても、「実質賃金の動向や円安の影響などによる、(消費者からの)需要の低下が懸念されるほか、 牛やポテト、オレンジなどの原材料価格の上昇も見込まれており、不透明な状況が続いている」と吉田氏は警戒感を示す。

 ただ、24年12月期通期業績の見通しについては、「売上高、営業利益ともにおおむね計画どおりの進捗となっている」(吉田氏)とし、通期業績予想も売上高が対前期比6.3%増の4060億円、営業利益が同11.3%増の45億円、当期純利益が同7.3%増の270億円と期初発表から据え置いている。

 日本マクドナルドHDはこれまでも数々のマイナス要因をはねのけ、増収の記録を伸ばしてきた。今回もこれまでと同じく通期業績目標を達成できるか、期待が高まる。