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バスチーだけじゃなかった! 2019年のコンビニベストヒットスイーツはこの3つ

2019年、コンビニ業界は揺れ続けました。課題だけでなく不祥事も頻出、業界の先行きに不透明感が漂いました。しかしコンビニなればこそという新たな成功事例もありました。スイーツです。ローソンとミニストップのヒット商品に、これぞコンビニという真髄を見た思いです。2019年コンビニ業界のアナザー・ストーリーです。

19年の業界大ヒットスイーツの代名詞とも言えるのが、ローソンが開発したバスチーだ

成功体験を乗り越えた「バスチー」

 ローソンの19年スイーツといえば、3月に発売したバスク風チーズケーキ「バスチー」の大ヒットです。「プレミアムロールケーキ」からちょうど10年、その成功モデルを乗り越えた会心の商品になりました。

 10年前も今回も、専門店をベンチマークしつつ個食用に独特の形状を考案、手に取りやすい価格に仕上げて需要を爆発させた点は共通しています。その形状は、コンビニ他社やナショナルブランド(NB)メーカーにも「リスペクト」され、バスク風チーズケーキといえば、あのかたちとサイズ感というイメージが浸透したのも、ロールケーキの時と似ていました。

 そして「プレミアムロールケーキ」を上回るスピードで売上を伸ばし、累計3200万個を突破・・・。数的にもすごいのでしょうが、「バスチー」の驚くべき点は、税込150円の「プレミアムロールケーキ」よりも高価格の税込215円で、スピード記録を打ち立てたことではないでしょうか。

 ロールケーキの偉大な成功は、ローソン内で次の定番をねらうスイーツ開発において、価格的な「縛り」となっていたといいます。「バスチー」は、200円台でもマス商品になりうることを実証しました。しかもネーミング的にもパッケージデザイン的にも、あえて「プレミアムロールケーキ」との差異化を追求したそうです。看板商品の成功モデルを乗り越えた「バスチー」は、コンビニスイーツ史(?)の中で特筆に値すると思います。

 

ショートケーキを最適化「CUPKE(カプケ)」

勢いに乗るローソンが、バスチーの次にヒットさせたカプケは、カップ容器で本格派ショートケーキをめざした一品

 「バスチー」で終わらないのが今年のローソンのすごさで、10月発売のカップ入りケーキ「CUPKE(カプケ)」シリーズ4品も約800万個のヒットになりました。ここでもその数字はさておき、斬新なのはカップ容器で本格派のショートケーキを目指したところです。

 ショートケーキはスイーツの王道ですが、コンビニでは定番化が難しい分野とされてきました。持ち運びで崩れてしまう点が、コンビニ商材として不向きだからです。カップケーキにすることで、その難点を克服しました。それだけではありません。ポイントは容器を不透明にしたことです。

 セブンイレブンも、ローソンに先駆けてカップ容器のケーキを商品化しています。セブンの容器は透明です。ケーキの断面を見せることでシズル感を高めていますが、おそらく断面を美しく見せるために、いちごのショートケーキやモンブランに、ババロアやムースの層を加えています。それが新しい味わいを生むわけですが、ショートケーキとしては「変化球」的な仕立てです。

 ローソンは、ケーキの断面を見せない決断をしました。シズル感は犠牲になりますが、ショートケーキの本道をストレートに追求するためです。カップ容器にはトランプのマークをデザインしました。いちごショート、モンブラン、ショコラ、ティラミスの定番4品それぞれに、トランプのマーク。まさにエースを当ててきたのだと感心したら、むしろ「不思議の国のアリス」的なイメージの表現だそうです。いずれにしても、気が利いています。

誰でも手軽に! ミニストップの「タピオカミルクティー」

ミニストップは幅広いお客にタピオカミルクティを提供した

 ローソンとは違った意味で、コンビニスイーツの本道だと思ったのがミニストップの「タピオカミルクティー」、「タピオカいちごミルク」です。10月4日に発売し、1店あたり35杯の発注制限をかけてフル回転、同月の既存店FF(店内加工ファストフード)売上を17%増(!)に引き上げた立役者の1つです。余談ですが、もう1つの牽引役は「チーズハットグ」でした。

 このタピオカドリンク、とくにブームに先駆けたわけではありません。むしろ遅れてきた部類です。ミニストップが新たなスタンダードを作り出したわけでもありません。もちろん、原材料にこだわり、タピオカの解凍処理に気を配り、ミルクには看板商品のソフトクリームと同じ北海道産牛乳を使用、そのうえで本体価格330円と手頃に仕上げたからこそのヒットではあります。とはいえ、ミニストップがタピオカドリンクを再発明したわけではありません。

 ミニストップのタピオカドリンクがコンビニ商品の本道というのは、高い品質を手頃な価格で、誰でも気軽に買えるようにしたからです。

 この商品、地方でより売れたといいます。タピオカドリンクの専門店がないエリアに、流行を届けたのは功績です。また、都会でも女子高生に混じって並ぶのはちょっと・・・、という男性に、気後れすることなく体験する機会を提供しました。こうした気軽さもコンビニの役割ではないでしょうか。その貢献の成果が、FF売上17%増です。

 ローソンの発明的な発想や、流行の裾野拡大に一役買ったミニストップ。コンビニのこうした取り組みにより、近くで、気軽に、手頃な価格で本格的なスイーツを楽しめます。コンビニ商品の価値とはそういうものだと改めて思う次第です。