計画購買性が高いカテゴリーは?
計画購買・非計画購買の比率は業態やカテゴリーによって異なります。前回ご紹介した直後調査による計画購買のアンケート結果です(調査条件は※)。
スーパーでは、洗濯用洗剤や柔軟剤はブランド計画購買の比率が高く、カップ麺、惣菜・ホットフード、スナック菓子は非計画購買の比率が高いという結果になりました。洗濯用洗剤や柔軟剤は、元々購入するブランドが決まっていて、購入意思がぶれにくいカテゴリーであるといえます。一方、カップ麺、惣菜・ホットフード、スナック菓子は事前に購入意思はなくても、店頭で購入意思が喚起されやすいカテゴリーといえます。
図1:カテゴリー別計画購買比率(スーパー)
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コンビニエンスストアでは、飲料は計画購買の比率が高く、惣菜・ホットフードやスナック菓子、アイスなどは飲料に比べて非計画購買の比率が高い結果となりました。
また、飲料の中で比較すると、栄養ドリンクやコーヒー飲料はブランド計画購買の比率が高く、お茶、野菜ジュースは比較的カテゴリー計画購買の比率が高い結果となりました。栄養ドリンクやコーヒー飲料はコンビニエンスストアに入る段階で購入するブランドまで決まっている一方、お茶や野菜ジュースは買うカテゴリーは決まっているがブランドまでは決まってないため、棚の前で選ぶという行動が発生していると考えられます。
図2:カテゴリー別計画購買比率(コンビニエンスストア)
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メーカー視点での計画購買の重要性
これらの計画購買の比率はどのようにマーケティングに活用できるのでしょうか。メーカーのマーケティングのゴールは自社の商品を購入してもらうことです。そのための施策は大きく「店外施策」と「店内施策」に分けられます。自社の商品が属するカテゴリーの計画購買の比率により、どちらの施策に重点を置くべきかが変わります。計画購買の比率が高いカテゴリーは店外施策、非計画購買の比率が高いカテゴリーは店内施策に重点を置くべきです。
コンビニエンスストアにおいてブランド計画購買の比率が高いコーヒー飲料で、店内施策に力を入れても、購入者はいつも購入しているブランドしか目に入らず、検討されにくい可能性があります。それよりもブランディングや広告等の店外施策で認知・興味を高めることが有効と考えられます。
図3:メーカーのマーケティング施策
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流通視点での計画購買の重要性
一方で流通視点でのマーケティングのゴールは店舗売上(利益)を増加させることです。カテゴリーごとの計画購買比率を把握して売場をつくることで、客単価の増加が見込めます。
コンビニエンスストアでカテゴリー計画購買の比率の高いお茶、野菜ジュースのカテゴリーは、棚を充実させることで、棚前での選択肢が広がり、顧客の満足度の向上がねらえます。
また、特に重要なのが非計画購買の比率が高いカテゴリーに関する施策です。店内で非計画購買比率が高いカテゴリーの購入意欲が喚起されるような売場にすることで、「ついで買い」を促し、購入点数を増加させることができます。たとえば、計画購買比率の高いカテゴリーを店舗の奥に配置し、非計画購買の比率が高いカテゴリーをその動線上に配置することで、来店客の目に触れる機会を増やすことが考えられます。その際の情報提供に関しても、新商品や値引きの情報提供であったり、関連商品の隣に配置したりといった、非計画購買の発生理由の特徴に合った施策を行う必要があります。
次回は簡便調理麺(カップ麺、冷凍麺など)の分析事例を用いて属性別の計画購買比率や非計画購買の発生理由の内訳を見ていきます。
参考:(財)流通経済研究所「インストア・マーチャンダイジング」
※調査条件
・調査対象者 :15~59歳男女
・エリア :全国
・業態 :スーパー/コンビニエンスストア
・回答デバイス :スマートフォン
・調査時期 :2017年2月8日~2017年2月22日
・有効回答数 :10416件 ※購入機会数
・対象カテゴリー :スーパー/コンビニエンスストア 各9カテゴリー
【プロフィール】
株式会社マクロミル
マクロミルは、高品質・スピーディな市場調査を提供する、国内インターネット・マーケティング・リサーチのリーディング・カンパニー。世界13カ国、34の拠点を展開しており、世界に誇れる実行力と、時代を変革するテクノロジーを統合し、唯一無二のグローバル・デジタル・リサーチ・カンパニーを目指している。
(執筆)
リサーチプロダクト本部
パネルデータ事業部 企画グループ
中村彩子
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