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日本の小売業1000社ランキング2022 収益認識基準会計で勢力図激変!?【特別編集版】

小売業ランキング

2022年の日本の小売業売上高ランキング1000社の総売上高は対前年比0.5%減、昨年より約3817億円減少し772584億円だった。08年のリーマンショックの影響から回復し、売上が上昇に転じた11年以降、11年ぶりの減少となった昨年に続き、小売業の総売上高は2年連続で減少することとなった。これにはコロナ禍1年目で一部の業態が受けた特需の反動減や、「収益認識に関する会計基準」の適用による売上高の目減りなどが影響しているとみられる。

ライフが初のトップ10入り

 売上高ランキング上位の企業を見ると、第1位はセブンイレブン・ジャパン(東京都:以下、セブンイレブン)、第2位はファミリーマート(東京都)、第3位はローソン(東京都)と、ここ数年変わらず大手コンビニエンスストア(CVS3社がトップ3を占めることとなった(注 CVSの売上はチェーン全店売上高)。コロナ禍1年目の20年度では、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるオフィス立地店舗の売上減などによ、大手3社のチェーン全店売上高はすべて減収という厳しい結果となった。しかし21年度ではCVS各社の業績は回復。チェーン全店売上高は大手3社すべてが増収だった。222月期の既存店売上高は、セブンイレブンが対前期比0.7%増、ファミリーマートが同3.3%増、ローソンが同1.1%増。CVS業態の総売上高は同0.2%増の108137億円だった。

 第49位までの顔ぶれは昨年と変わらず、衣料品専門店最大手のファーストリテイリング(山口県)、総合スーパー(GMS)最大手のイオンリテール(千葉県)、家電量販店最大手のヤマダホールディングス(群馬県)、GMS業界2位のイトーヨーカ堂(東京都)、ドラッグストア(DgS)のウエルシアホールディングス(東京都:以下、ウエルシアHD)、ツルハホールディングス(北海道)と続く。第10位には、食品スーパー(SM)最大手のライフコーポレーション(大阪府)が、昨年16カ月の変則決算のため大幅に売上を伸ばしていたユニー(愛知県)に代わりランクインした。

 

ウエルシアHDが売上高1兆円超え

 業態別に総売上高を見ていくと、主要10業態のうち、SMCVS、衣料品専門店、ディスカウントストア(DS)の4業態が業績を伸ばした。全業態の総売上高に占める業態別シェアでもこれら4業態が昨年より伸長している。

 SMの総売上高は184831億円で、前年から6.1%増加。業態別シェアは昨年から1.5ポイント伸びて23.9%と、すべての業態の中で最もシェアを伸ばしている。しかしこれは、売上高7373億円(2112月期)の西友(東京都)が新たにランキングに追加されたことや、一部GMS企業がSMに区分変更されたことなどが影響している。この特殊要因を除くと、実質的な総売上高は1000億円程度減少したことになる。

 DgSの総売上高は対前年比1.0%減の93900億円で、前年よりわずかに減少した。SMと同じく20年度の反動減の影響が大きいとみられる。しかし、3年連続で業界首位を走るウエルシアHD222月期の売上高は対前期比8.0%増の1259億円で、1兆円の大台を超えた。

 昨年に続き、業態別で最も総売上高が落ち込んだのは百貨店だ。総売上高は対前年比22.0%減の32289億円。1000位以内の企業数も昨年から4社減少して58社だった。コロナ禍での事業環境悪化に加え、一部企業が「収益認識に関する会計基準」を適用したことから売上高が大きく減少している。しかし、コロナ禍の大打撃を受け、最終赤字が相次いだ20年度と比較すると、21年度は増収・黒字確保となった企業も少なくない。しかし、徐々に日常が戻りつつあるとはいえ、インバウンド需要の回復にはまだ一定の時間がかかりそうだ。前年の反動増の域を出ない百貨店各社にとっては、まだまだ厳しい状況が続くとみられる。

企業間格差が鮮明に

 コロナ禍1年目の20年度では、SMDgSなどの一部業態が特需を受け、実力以上の業績となった企業も少なくなく、業態間の格差が顕著だったのに対し、2年目の21年度では業態間格差に加え企業間格差も見え始めた。特需を追い風にさらなる成長を遂げることができた企業とそうでない企業の実力差があらわになった格好だ。

 今後も激しい競争が続くなか、コロナ後の生き残りをかけて上位企業を中心とするM&A(合併・買収)も活発化するかもしれない。SM業界では、2112月には、オーケー(神奈川県)との争いに勝利したエイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府)が関西スーパーマーケット(兵庫県:現・関西フードマーケット)と経営統合した。ホームセンター業界では、229月にアークランドサカモト(新潟県)がアークランズに商号変更し、2011月に子会社化していたビバホームを吸収合併している。

 本特集では、売上高のほか、売上高純利益率、自己資本比率、従業員一人当たり売上高などのランキングを業態別・地域別に記載している。アフターコロナが間近に迫りつつあるなか、生き残ることができるのはどの企業か──。本特集を読み、各業態の現状や今後の業界展望を読み解いてほしい。

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