チラシ特売を軸とする「ハイ&ロー」が主流とされる関西市場で、オーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)は「高品質・EDLP(エブリデー・ロープライス)」を掲げて出店を進めている。値ごろ感だけでなく“価格と価値のバランス”を訴求する同社の戦略は、関西の消費者にどう受け入れられているのか。その手応えと今後の展望について、二宮社長に聞いた。
「消費者像は関西も関東も変わらない」
──関西進出後の反響を含め、現在の競争環境をどう見ますか。
二宮 現在、関西では当社の進出を契機に競合各社が対抗姿勢を強めるなど、地域競争がいっそう激化しています。大手だけでなく、中小の地場チェーンも含めてプレーヤーが多く、関西市場の競争は厳しいと感じています。関東でも競争環境はいっそう厳しさを増し、既存プレーヤー間の競争に加え、業界再編が一気に進行しています。
●1974年生まれ。神奈川県出身。97年東京大学文学部卒業、三菱商事入社。2008年11月Mitsubishi Cement Corporation/MCC Development出向(米国)。13年4月三菱商事リスクマネジメント部。15年6月オーケーへ出向、経営企画室長。16年1月執行役員30%成長戦略室長兼店舗開発本部長。16年5月三菱商事退社。16年6月から現職
たとえばトライアルホールディングス(福岡県/永田洋幸社長)さんによる西友(東京都/大久保恒夫社長)さんの買収もその一例でしょう。こうした流れは今後さらに加速すると見ています。
また、商品価格や各種コストの上昇が続くなか、一定の利益構造を維持しながら収益を確保するには、無理な値上げに頼らず、より多くのお客さまに選ばれることで客数を増やし、売上を伸ばす努力が不可欠です。そのために、商品の「価格」と「価値」のバランスを明確に打ち出し、質の高い商品を適正な価格で提供することで、“選ばれる”売場づくりを推進していきます。
──関西に進出してから約5カ月がたちました。現在の状況をどのように評価しますか。
二宮 2024年秋に関西1号店である「オーケー高井田店」(大阪府東大阪市:以下、高井田店)を、25年1月には「オーケー西宮北口店」(兵庫県西宮市)をオープンし、いずれも順調です。当社の場合、新店は開業時に売上高が大きく伸長し、その勢いがやや落ち着いた後、4~5年かけてさらに伸び続けるという傾向があります。関西の2店舗もこのトレンドに沿うかたちで推移しており、今後の成長に期待が持てる状況です。
部門別の売上高構成比を見ても、生鮮3品や総菜が高い割合を占めるなど、関東の新店と同様の傾向が見られます。なかでもベーカリー部門は想定を上回る推移で、とくにピザは関西においても高く評価され、当社のベーカリーを象徴する商品として定着しつつあります。
──関東と比べて、関西の消費者ニーズや購買行動に違いは感じますか。
二宮 関東と関西で、消費者の本質的な価値観に大きな違いはないと見ています。「品質がいいものを毎日安く」という当社の方針は、地域を問わず支持され得ると考えています。実際、「わざわざ高いものを買いたい」というお客さまはあまりいないでしょう。
そのため、商売の仕方は関西においても基本的に変わりません。EDLPを軸に、生鮮食品は週単位で、グロサリーでは「特別提供品」なども活用しながら、お客さまにとってわかりやすい価格訴求を実施しています。
一方で、関西には独自の食文化があり、
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