イオン(千葉県/吉田昭夫社長)は7月に稼働した新物流センター「イオン福岡XD(クロスドック)」を拠点に、トヨタ自動車などが出資するコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(東京都/中嶋裕樹社長:以下、CJPT)と組み、物流社会課題の解決と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを本格化させる。2030年までに物流作業の生産性を30%引き上げ、店舗配送時のCO2総排出量を35%減らす。九州で未来の物流モデルを築き、全国に波及させる。
トヨタ生産方式、CASE技術で効率化
今回発表した物流効率化・脱炭素モデルの構築の取り組みは、イオンとCJPTにイオン九州(福岡県/中川伊正社長)と物流センターを運営するイオングローバルSCM(千葉県/手塚大輔社長)を加えた4社によるもの。
拠点となるイオン福岡XDは、イオン初の常温・低温一体型センターだ。福岡県福岡市の人口島「福岡アイランドシティ」の物流施設内に入居し、賃借面積は約4万1000㎡。常温は7月、低温は8月から稼働を始めた。福岡エリアをカバーしていた常温センター「イオン福岡ロジスティックセンター」が稼働開始から50年を経たことから福岡XDを新設したかたちだ。
CJPTはトヨタ自動車といすゞ自動車、日野自動車、スズキが共同出資する、商用車における技術・サービスの企画会社だ。次世代車の柱となる技術である「コネクテッド(ネットワークを介してさまざまなデータを集積・分析するクルマ)」「オートノマス(自動運転)」「シェアリング(共有)」「エレクトリック(電動化)」を総称した「CASE」技術を商用車に活用する目的で、21年4月に設立された。
計画によると、CJPTがノウハウを持つ「トヨタ生産方式」で物流現場の作業を改善する。「トヨタ生産方式は生産現場で使うととらえられているが、元は作業者の仕事を楽にするために生まれた思想だ」とトヨタ自動車の副社長も兼務するCJPTの中嶋社長は話す。これを物流現場に応用し、作業負荷低減と効率化を実現。トラックの積載率を高めることで、配送トラックの総走行距離を10%短縮する。
また、トヨタ自動車が開発した「E-TOSS」と呼ばれるリアルタイムの車両・交通データを活用した最適配送計画システムを使って、最適な積載・配送ルートを設計。配送効率を高めることで同総走行距離をさらに10%短縮する。
そのほか、燃料電池自動車(FCEV)やバッテリー電動自動車(BEV)といった環境車両をイオングループでは初めて福岡XDに配備。30年までに全車両の
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